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購買2.0の本質(2)
千の否定のあとに、何が残るのだろうか。
こういう話の後の結論としては、おそらく「購買は社内の調整機能(コミュニケーション)として価値を発揮してゆくべきだ」という結論を導く人が多い。
私もそのこと自体に異論はない。
ただし、その調整役という言葉になるとよく分からないことが多い。その主張を持つ人と話してみよう。
他の知識は不要なのか?
「いや、そうではない」という。
じゃあ何が必要なのだ?
「それは製品知識・業界知識・交渉能力・法務知識だ」、と。
それはこれまでの理想の購買像と何が違うのだ?
「違わない、いままでそういうことができていなかったのだ」。
とまるで禅問答になってしまう。
本当に調整機能が求められているのであれば、設計者とメーカーをつなぐシステム作りに血眼になればいいのではないか。
Googleのようなオープンな情報システムが社内にできれば購買も不要になるのではないか。
・・・・
おそらく、こういうことなのだと思う。
「購買は社内の調整機能(コミュニケーション)として価値を発揮してゆくべきだ」というとき、それは媒介業(メディア)と言い換えることができるだろう。
購買とはメディア業なのである。メディアとはメッセージである。
購買は、送り手(会社の指針や設計の意向)を伝達し、受け手(サプライヤー)からのリアクションをフィードバックすることでよりよい生産活動を実現する。
メディアは単なる調整・媒介業を超えて、何を伝達するか、どのように伝達するかによって既に受け手にメッセージを送っている。
もし、世界メディア全体の動向に倣っていうのであれば、これからは単方向であることを止め、双方向の可能性をもっと模索してゆくべきだろう。
Web2.0のように購買2.0というならば、
より多くのサプライヤー情報を探しあて(あくまで「探す」能力だ。「知っている」ことは今では価値を喪失した)、多くのコスト・支出解析ツールにアクセスでき(あくまで「アクセス」できる能力だ。使いこなす「スキル」を一生懸命身に付けてもすぐに陳腐化してしまうことがある)、そして同時に社内の情報も凄まじい速度と量を持って発信してゆく。
私の前述の例で言えば、悔しかった私は社内から「口うるさい」工程設計屋数人を連れ、さらには多くの工程設計ソフトの概要を調べて再交渉にあたり、成功した(「口うるさい」人と仲が良い、ということは立派な能力である)。
これまでの購買活動の枠を超える必要が出てきている。
では、購買1.0の先の購買2.0にあるものは何だろうか。
その先にあるものは、サプライヤーや設計本位ではない、購買本位からの物流である。
もはや、そこではバイヤーは単なる「購買」に留まってはおられない。バイヤーは登場人物をキャスティングし、先端の情報を自らのツールで収集し、伝達する。
それは、購買エンターテイメントとでもいうべき新しい姿である。
「バイヤーは購買エンターテイメントを目指せ!」