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通常のバイヤーを超える!(1)
「教えられてないからできません!」
あるバイヤーは、後輩のバイヤーの叫びに驚いた。
その後輩バイヤーは、あるバイヤーから引継ぎしたあと、あまりにも多大な量に驚いていた。
次々にかかってくる電話。次々に押し寄せるサプライヤー。日々の業務、問題。
その課の業務の何もかもが、自分にふりかかってくるように思ってしまった。
最初は「大変みたいですね」と、自分の将来の業務に感想を述べるにとどまっていたが、それを実際やる時期になると、不平不満が鬱積していった。
当初は夜遅くまで業務を行うことで何とか対応していったが、じきに疲れと仕事の荒さが目立つようになっていった。
日々の設計者からの問い合わせには「時間がないからできない」といい、いつかしら「あの設計者は放っておいてもなんとかしてくれるだろう」と自己の仕事の不完全さを肯定するまでになっていった。
そして、いつしか、言い訳ばかりが多くなっていったのだ。
あるとき、その後輩バイヤーは電話中、目の前にいる引継ぎ元のバイヤーに聞こえるように、こういったのだ。
「いや、そういうことは分かりません。教えられてないからできません!」
・・・・
引継ぎ元のバイヤーは私だった。
そして、今まで数名のバイヤーに仕事を引継いできたが、その量そのままをそのままのクオリティで引継いでくれた人は、あまりいない。
少なからぬ後輩バイヤーに「どうやったら、仕事を早く覚えることができ、早く成果を挙げることができるか」と訊かれると、必ず答えることがある。
「与えられた仕事を全て断らず、他人への問い合わせにも対応し、空いた時間には他のバイヤーが今まで考えなかったことを考える。それだけ、でいい」と。
どんな仕事でも断るべきではなく、あまりに膨大な量もそのまま受け止め、ひたすら密度を高めれば成功できる。
個々人の仕事の範囲が明確でない日本企業だからこそ、こういうことが平気でできてしまう。
これは、おそらく後輩バイヤーへの相当なプレッシャーなのだけれど、それが真実だと信じているので仕方がない。
詰め込めば詰め込むほど能率は上がる。
そして、毎日気づいたことをメモして、蓄積するだけでよい。
こういうことを続ければ、高尚な知識など必要ない、と信じている。だけれど、分かってくれる人はなかなかいない。