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２日前⑥
私は「世界一のバイヤーになってみろ！！」というメルマガを発行しているが、
反響の多いトピックは、この「やりたくないことをいかに減らすか」ということだ。
「もうちょっと将来への展望を持っていなければ情けないのではないか」という人
がいるかもしれないが、ここは黙っておいてもらおう。「将来どんな部長になるか」、
ということよりも、バイヤーにとっては目の前のやりたくないことを減らす方が数
倍、いや、数百倍重要なのだ。このことを否定して物事は進まない。
そして悩みというのは、人によって変わってくる。ドストエフスキーは、「幸せな
家庭よりも不幸な家庭の方が多様である」という内容のことを言ったが、バイヤー
にとっても「いやなこと」「やりたくないこと」は、まさに個々人にとって多様であ
る。そして、それぞれの困りごとの解決策をもし集めることができたら、それは巨
万の富を生むネタになるだろう。組織というものが大きくなればなるほど個人が注
目されてくる。そして個人の悩みや困りごとや、やりたくないことというものを逆
説的に成長の糧に使うことによって個人の存在感が増してくる。著書「フリーエー
ジェント社会の到来」で、ダニエル・ピンクはこの逆説を「デジタル・マルキシズ
ム」といった。
バカでもうまくいく方法でなければ意味がない
バカでも仕入れ費を削減できる方法。これはその名の通り、誰でも実践できる方
法だ。今までの原価低減方法は、経験のあるバイヤーが、今までの知識と能力をフ
ル動員して交渉にあたらないと効果が出なかった。しかし、本当にその方法しかな
いのであれば、新入社員がやろうとしてもすぐには真似できない。２００７年に多
くの定年退職者が出ようとしている現在にあって、経験や知識をあまりにも必要と
する手法しかなければ、企業は本当に深刻な問題を抱えることになるだろう。
また高度な知識といっても、バイヤー全員に学習させようとするのは非常に難し
い。パレートの法則で「世の中は優秀な２割と、その他の８割とに分かれる」いう
のがあるが、その優秀な２割を育て上げるために全員を学習しようとしても（最初
は誰がその２割にあたるのか分からない！）、なかなか効果があがらないだろう。さ
らに、その２割に入ったバイヤーも今の時代であれば、どんどん辞めて行ってしま
うかもしれない。
人間とはそもそも、楽な方、楽な方に行こうとする生き物である。とするならば、
その８割の人、普通の人にすぐ実践できる「安く買う方法」が必要とされている。
バカでも、仕入れ費を削減できる方法が必要とされている。
