2日目②

2日目②

信じられないかもしれないが、今までバイヤーが、まさに買おうとしている人の

顔を見たこともなかったし。何をどのように買うかという判断基準を持っているか

を知らなかった。いや、考えたこともなかったかもしれない。それを実際売り場立

たせて見せただけなのであった。

考えてみるに、婦人服を仕入れる主体が男性ということは、好みにギャップが出

ても仕方ない。いや、乖離するのは当然だ。そんな簡単なことにも気づかずにいた

のだ。これは難しい知識とは関係がない。バカだってできる。だって、お客さんに

どのようなものが欲しいか聞いてそれを買ってくるだけで売れるのだから。今まで

のやり方は一体なんだったのだろうという話である。そして「いくらぐらいならお

客さんは買うかな」という判断基準さえ持っていれば、その基準で単に買ってくる

だけだ。

多額のお金を払ってシステムを構築したり教育しても、それによって購買活動が

楽になるわけではない。安く買えるわけでもない。考えりゃ、当然のことである。

もう一例見てみよう。ある3000人規模の中小企業は、鉄鋼メーカー系の調達

コンサルタントを雇い、何カ月にも渡って机を付与し、何億円もする調達システム

を導入した。業界では最先端のシステムであり、誰もが最初はうまくいったかのよ

うに見えた。

しかしそれが全くダメ。そもそも例外の多すぎる購買業務において、一つのパッ

ケージソフトで収まるような仕事ばかりではなかった。例外処理が多発し、想定し

ていなかったバグが起きる。紙伝票がなくなるはずだったのに紙伝票が乱発され、

しかもそれぞれの紙伝票を発行すること自体がものすごく手間だったものだから、

全体の業務負荷は爆発した。しかもそのシステムが煩雑すぎて取引先は追従するこ

とができない。結局、そこの企業のバイヤーが作ったエクセルファイルで場をしの

いだという。

ERPで管理するよりも、エクセルで手入力で管理したほうがよかった

というのは示唆的な話ではある。ただ、「一体あれって何だったんだ」、という話に

なった。

大掛かりな調達システムを導入して成功した企業の例が盛んに宣伝されているが、

それらはおそらく半分ぐらい聞いておいた方がいいだろう。ペーパーレス化を推進

したというある企業の人と話したときは、ものすごく分厚い紙の伝票を見せてくれ

た。「本当はこんなのばっかりよ」と。そこには、赤鉛筆で修正した跡があった。大

企業だって苦労している。加えていえば、大企業の真似をしたばっかりに、もっと

苦労している中小企業がいかに多いことか。

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