2012年の年頭にバイヤーとして(牧野直哉)

2012年の年頭にバイヤーとして(牧野直哉)

新年明けましておめでとうございます。明るく穏やかな新年をお迎えのことと存じます。今回は、穏やかなお正月の後に待ち受ける激動の2012年をどう乗り切っていくかがテーマです。明るく穏やか、とはほど遠い内容となります。しかし、あえて新年最初のメッセージとします。

●2012年に重要なこと

1. 世の中が不況だからといって、決して不況につきあわない

もう日本全体が好景気に沸くことはありません。日本経済の置かれた環境を冷静に読んでいくと、もう全体的に良くなる要因が少ないのです。人口は減少傾向を止められない。資源価格は新興国経済の勃興によって上昇トレンドを免れません。為替レートも、消極的で相対的な選択肢で選ばれているとはいえ、円高傾向がしばらく継続していくでしょう。これからの未来を語る際、これらの中でどのように進むべきかを考えなければなりません。

しかし今の状況をよくよく見極めてみます。デフレ現象の象徴である価格下落はあらゆる製品・サービスですすんでいます。このことは、収入が同じであれば過去との比較でより良い生活をおくることができることをあらわしています。そして逆に高額な製品・サービスの消費をみてみます。富裕層といわれる人々が増えているからでしょうか、数万円のディナーを提供するレストランは、週末ともなれば大変混雑しています。

高いレストランで食事をする人が増えることを好景気の象徴とは思いません。しかし身の回りの出来事に目を向けていると「ほんとうに不景気なのか」と思える事象もあるのです。これはなにを意味するのでしょう。

これは景気の良し悪しが「国」とか「業界」でなく、「企業」「個人」といったより小さな経済主体へと移り、一様ではないことを意味しています。日本全体はダメ、でも会社は、もしくは僕は景気が良いよ、ってことが今、いろいろなところで起こっているのです。

不況とはどのようなものでしょうか。単純にいえば、製品やサービスが売れなくなることです。私は親しい友人と開催する新年会で「今年欲しいモノはなにか」「昨年買った一番高いモノはなにか」といった話をします。欲しいモノとの質問に正直悩みます。いや、欲しいモノは沢山あるのです。でも必要かどうかを考え合わせると買わなくても済んでしますのです。日々の生活に必要なものはある程度満たされている。しかし、人口数十億の新興国がいわゆる先進国と同じ生活レベルに追いつけ、追い越せと成長しています。グローバル視点では、製品やサービスをほしがっている人はたくさんいて、実際に購入する人も多いのです。そのグローバル視点での需要に、自らが携わる供給力をいかに結びつけていくか、これから我々がおこなわなければならないことです。日本国内を見れば、経済的な原理原則にそって考えるとき、景気が好転する要素を見いだすことはできません。しかし、それで不況モードに自分をおとしめるか、どこかに必ずある「好景気」と自分を結びつけることができるかどうか。不況につきあっても良いことはないのです。

2. 多くの人と同じ事を考えないし、同じ行動も起こさない

日本全体が不景気な雰囲気に包まれている今、多くの人と同じ考えによって、同じ行動をしているのでは、違った結果を得ることはできません。たとえば、多くの人が社会人なのだから新聞を読むべきだ、との考え方がありますよね。私も過去に、日経新聞のその日の一面の記事を基点にして価格交渉をやってみる、なんてことを実践していた時期もありました。しかし昨年の8月以降、新聞の購読を止めました。4ヶ月が経過しますが、これといって困ったことはありません。みんなが読むのであれば、みんなが読まない情報へアクセスするのが良いのではないかと考えたのです。

この考え方を実践した例としては、東日本大震災が発生した翌週に、集まれるメンバーで飲み会を行ったこともあります。日本全国自粛ムードの中、被災者でない私まで家に閉じこもる必要はないと判断したためです。街へ繰り出してみると、携帯のエリアメールに慣れきって、まったく動じることが人々を目にしました。人間の順応能力に感心するとともに、すこし恐ろしさも感じました。大きな地震が来るかもしれない、というメールがきても変わらず飲み続ける人が大多数なのです。そして帰路ではいつもであれば満員の電車がガラガラでした。震災の影響にともなう景気の冷え込みに触れ、この先どうなってしまうのかと震災が人々に与えた心理的な影響の大きさを実感しました。

同じ事を考えないというのは、非常に難しいことです。やれっ!と言われても、すぐにはできません。どう考えれば人と違ったことを考えられるのか。具体的な方法論が示されているわけではありません。一つの、解決策につながる行動が次のポイントになります。

3. 会社の同僚でもなく、学生時代からの友人でもない仲間を持つ

会社の同僚、学生時代からの友人も、もちろん大事なかけがえのない存在です。でも、やはり価値観といった部分でどうしても似ているか、当時の価値観を引きずったものになってしまいます。くりかえし、そのような価値観を同じくする仲間も大事です。私はそれだけでは不足しているのではないかといいたいのです。価値観だけでなく、視点も思考も似ている集団からは同じような行動しか生まれません。かつての日本はそれでも良かったのです。日本という大きなパイが大きくなっていたのです。しかし現在は異なります。日本というパイは小さくなっています。小さくなることを何気なく是認している今から脱却しなければならないのです。

私がこのメールマガジン発行のきっかけを得られた購買ネットワーク会も、関東、関西、中部、中四国と、日本の産業集積地に誕生しています。しかし、九州や東北、日本海側の拠点はありません。一番小さな会では、10名程度で運営されています。私は購買ネットワーク会によって、社内でなく、学生時代からとも違う仲間を得ました。関東や関西では数十名が集まって、様々な企画により研鑽を重ねています。正直に言えば、数十名であればどうしても、話す側=提供側と聞き手に分かれてしまう。切磋琢磨の部分が乏しくなってしまうのです。

ここで一つ提案です。既に購買ネットワーク会が開催されている地域では、幹事をやる。興味をもたれたけれども、気軽に参加できる開催地ではないという方は、みずからが基点となって開催してみませんか。購買ネットワーク会は、企画に参加するよりも、運営側のほうがより大きなメリットを得ることができます。いまのところ、まだ日本には購買ネットワーク会空白地帯が多いのです。今がチャンスですよ。幹事をやってくださる方は、ぜひ次のアドレスまでメールをお願いします。イベント開催のノウハウ習得と捉えても、得られるものは大きいですよ。私が全面的にサポートします。都合が合えばもちろん参加もします。

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