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5日目③
安くてよいものを買えないということが往々にしてあり得るのだ。ではその反対
に、何故その安いものを選ぼうとしない人がいるのだろうか。これは今まで誰も言
っていないのだが、感情である。今までの経験といってもいい。思い込みといって
もいい。ぱっと見た印象で決めるときもある。いずれにせよ、理屈ではなく感情で
ほとんど決まっているのだ。もう一度言う。製品は理屈じゃなく、ほとんどの場合
は感情で選ばれているのだ。
だから先ほど言ったように、安く売っているわけでもない、品質がさほど良くな
い企業が儲けているのである。そういう企業はいかに人に買わせるかというのを研
究しているから、高くても売れるのである。そういう企業が売っているものは、た
いていの場合、製品ではないのである。会社か営業マンを売っているのである。こ
の会社から買ったら安心だとか、この会社から買うとよくわからないが大丈夫だろ
うとか、そういう雰囲気を売っているのだ。逆に製品だけを売っているところはな
かなか人から信用されない。人はどうしても、製品が素晴らしいと判断できでも、
売っている人や会社を信頼できないと買うことができないのである。
たとえばあなたが仕入れ担当者とする。ある営業マンと十回ほど交渉を重ねるご
とに仲良くなり、徐々に相手の人柄もわかるようになる。そして製品も素晴らしい
となると、その取引先から購入する決定をしたくなるだろう。しかし、それを社内
の人に説明すると、なかなか解ってもらえない。こういうことはよくあるだろう。
その時、製品のことだけを社内の人に説明しては永久に解ってもらえないのである。
それは、繰り返しだが、製品の理解だけでは人は全く感情が動かないからである。
ここまで考えてくると、何故馴染みのある取引先やあるいは系列企業は、人間関係
を売りにしているかがよくわかる。製品自体を売るよりも、人間関係を売った方が
簡単だし、かつ確実だからである。しかも、買い側もそれに反応するのだから文句
は言えない。