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6日目①
売りこみじゃない売り込みに気をつける
「無料」。なんといい響きだろうか。「無料で何かを差し上げます」といわれたとき
に、人の心理として防衛壁はぐっと下がる。通常、何かを買うときに、その対象が
お金を払うに値するかどうかを人は必死に考えようとする。そして、お金をムダに
しないように防衛しようとする。「これよりももっといいものがあるのではないか」
「これよりももっと安いものがあるのではないか」と自然に考えてしまうのである。
だから、売り手は「無料」という言葉を使うのである。「無料」だからといって何
かを受け取ってしまったとき、買い手の心理的バリヤーはぐっと下がることを売り
手は知っているからだ。売り側は、「いきなり商品を購入してくれる人」を探すより
も「まずは無料で試しに使ってみようという人」を探すほうがはるかに楽であるこ
とを知っている。そして、無料でも試した人は多くの確率で、その後に購入してし
まうことも。
まともな売り手であれば、宗教法人と比されることは心外であろう。が、あえて
その心外な例を出す。教祖が捕まった「最高ですかー」で有名な某団体は、駅前で
老人相手に教祖の書いた書籍を無料で配布していた。その宗教団体としては、お金
が目的ではない、あなたがたを真に正しい道に導いてあげたいのですよ、と思わせ
多くの信者を獲得することに成功した。その後に、財産をむしりとられた人たちは
数知れない。このように、入り口の敷居をぐっと下げておいて、集まった人たちに
高額なものを売りつける、というのは形を変えながら長い期間続いている常套手段
なのである。あまりに人間心理をついているので廃れることはなく、今でも日本の
どこかで同手段が使われているに違いない。