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7日目①
まやかしの売り手理論よりも自分の常識を信じろ
売り手の心理操作として、「買い手と共通の敵をつくる」というものがある。何か
支障が出たとき、あるいはバイヤーが困っているとき、営業マンが「そうそう、あ
れって困りますよね」というときがある。そんなときにバイヤーが「よくお分かり
ですね。そうなんですよ」と言ってしまうことは非常に危険である。その時点で買
い手と売り手の距離は接近してしまう。
例えば、バイヤーの社内に分からず屋がいたとする。その人のせいで、なかなか
バイヤーの仕事が進まない。そういうときに営業マンは「○○さんも大変ですね。
ああいう方がいらっしゃるので、大変困っているようにお見受けします」と言うの
である。それにバイヤーが「よくぞ分かってくれました」というとき、そこには共
通の敵が存在することになる。
何かに一致団結して戦いを挑もうとするとき人間は非常に大きなパワーを発揮す
る。戦友になってしまうと、多少のミスや過ちを指摘できなくなってしまう。私も、
以前の上司が「過去からの知り合いだ」というだけで特定の営業マンからモノを購
入するように指示を受けたことがある。第三者的に客観的に見て、売っているもの
が良くなく、安くもなかった。だが、一度共通の敵と戦った二人の絆は強固になっ
ているのである。その後、二人の飲み会に同席したが、そこで出るのはお互いの社
内の抑圧と戦った武勇伝ばかり。これだけ蜜月関係では、まともに公平な取引など
望むべくもない。