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AIは調達を変えるのか、バカを増やすだけなのか
先日より個人的に、AIや機械学習を研究しています。書籍を読むだ
けでは飽き足らなくなったので、自分でプログラミングしてみました。
それで、いろいろと、AIができることと、できないことがわかって
きました。そして、私はいろいろと考えさせられました。
この前、このような実験をしました。ある与信会社があります。その
会社は企業の決算書情報を集め、「優良」から「危険」まで10段階
に分類するのです。私たちだって、サプライヤの決算書を収集はでき
ます。しかし、その決算書のどこを見て、どう得点をつけるのかはブ
ラックボックスです。公開している与信会社もあります。ただ、多く
は格付けのロジックで儲けています。これをAIで解かせることにし
ました。
具体的には、これまでの決算情報と、そして与信会社が格付けした情
報をAIに記憶させました。そして、ロジックを分析し、そのAIが
結果を知らないサプライヤの情報を与えてみました。すると、与信会
社が格付けしたランクを計算し、提示しました! すごい!
しかし、私は同時に考え込んでしまったのです。これは、果たしてい
いことなのでしょうか。価格査定も、格付けも、まったく根拠なく算
出できます。そのロジックも、決算書の読み解き方も、なんらわから
ずともAIに任せればいいのです。元となるデータは集めなければな
りません。でも、後任の調達担当者は、意味もわからずデータさえ集
めれば事が足ります。あとは、機械がやってくれるのですから……。
ただ、こういう話をすると、ある方がいいました。「でも、私たちは、
携帯電話がなぜつながるかわかっていないだろ」「電子レンジがなぜ
モノを温めるか、正しく理解しているか」「もっといえば、なぜ空が
青いのか、夕陽が赤いのか説明できる奴はいるか」。たしかにそのと
おりなのです。私たちは、理解できない、でも、使えるものに囲まれ
ています。
とはいえ、金融危機で明らかになったのは、ロジックがわからないひ
とたちが、ロジックを暴走させてしまう事実でした。リーマンショッ
クの際は、上級レベルの社員でさえ、正しく金融理論を理解していな
かった、とさまざまな書籍が書いています。もちろん、ある方がいう
とおり、理屈なんてわからなくても使えればいいのかもしれません。
でも、この違和感はなんでしょうか。
AIは相当な可能性があります。ですから、私は折に触れて、AIと
調達の最前線をレポートしてきます。ただ、AIは調達を変えるのか、
バカを増やすだけなのか、も同時に考えておきたいのです。