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GM復活物語はほんとうか
先日、鮮やかな復活劇が報じられた。GMのことだ。
同社はついに再上場を果たした。しかも、米国史上最大規模だ。報道によると、なんと1兆6700億円もの資金調達に成功したという。さらに、再上場初日の株価は、なんと売り出し価格を上回った(約3.6%)
もちろん、値付を低めに設定していただろうし、あれほどの政府系のバックアップがあれば鮮やかなる回復劇は当然という皮肉もある。ただ、それはほんとうに皮肉なのだろうか。
業績を見てみよう。GMの2010年1~9月期の業績が発表されている。それによると、売上高は約8兆円となっており、純利益は約約3500億円だ。ここでもちろん、率で見る思考もあるだろうが、3500億円は少ない金額ではない。実際に、多くの自動車メーカーを圧倒する利益額となっている。
私はここにGMの真の復活を見る、といえれば良いのだが物事はそれほど単純ではない。
GMの復活の原動力となったのは、もちろん「売上の回復」と「固定費の削減」にあった。後者は繰り返し語られたのでここでは省こう。しかし、前者の売上高の回復に関しては、中身がトラックやSUVとなっていることは注目してもよいと思う。
これからプラグインハイブリッド車を投入する同社だが、現在の基盤はやはり大型車にある。これは批判ではない。倒産にいたった背景は、大型車が売れなくなったことにあった。回復の背景も大型車にあった。このことだけを述べたいだけだ。
もちろん、同社を「大型車から脱却できておらず、根本的な解決に至っていないのではないか」という指摘はたやすい。ただ、これまで大企業を中心として「根本的なる事業改造」が行われているものの、商品ラインナップを劇的に変化させることができた企業は少ない。しかも、too big to fail な企業であればなおさらだ。
数年後に、同社から哀しき音色が聞こえてこないことを祈る、ほんとうに。