1-(3) 調達・購買が抱える問題とは何か「調達・購買部門の地位の向上」

1-(3) 調達・購買が抱える問題とは何か「調達・購買部門の地位の向上」

仕事の喜びを感じよう、とよく言われています。「モノ作りの喜び」、とは製造業に携わる人ならばよくいうことです。

しかし、残念ながら私はそれまで、自分の仕事に喜びを感じることはありませんでした。常に納期に追われる毎日。そして、不条理なコスト低減を要求される毎日でした。

どれだけのバイヤーが、一つのプロジェクトを終えて、このような歓喜につつまれた経験をしたことがあるでしょうか。

机の前に座り、サプライヤーが持ってきた見積り書だけを見て交渉を繰り返しているだけの人が一体どうやってバンザイをすることができるでしょうか。

バイヤーの停頓感は、このバンザイの不在にあるのではないでしょうか。何かを成し遂げた後に、バンザイをして皆と喜びを分けあうことができないからではないでしょうか。この何かを成し遂げたときのバンザイの不在は、つまり仕事に感動がないということではないでしょうか。

設計者であれば当然のように製品を設計し、ときには自分で組み立てもやります。多くのサプライヤーと一緒になって、一つの製品を創り上げるという「のめりこみ感」があります。自分の製品がラインに流れ始め、製品がお客のもとに届けられ始めたとき、設計者は感動を味わうことになるでしょう。

それに対して、多くの場合、バイヤーには感動がないのです。バンザイがないのです。

製造業の会社にあって、モノ作りをしていない、それなのにモノを恒常的に取り扱う、という矛盾した存在であることが多いからです。

私は中国で非常に貴重な体験をしたと思います。あの原体験が、仕事の喜びを考える中で礎となっています。

もちろん、それは中国のみで経験できることではありません。あちこちの現場にバンザイは転がっています。それを見る気があるかどうかだけが問題です。

そして、何かを成し遂げたときにバンザイをするためには、自らが積極的に関わっていたことが重要になります。一つのバンザイは次のバンザイにつながり、ささやかな成功体験が大きなモチベーションへとつながり、さらにはそのモチベーションによって得られた成果が調達・購買部門の地位の向上に寄与するはずです。

まずは、現場に出向くこと。そして、自らが率先して物事に関わること。この原則だけは守り続けなければいけません。

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