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2日目①
お金が入ってきたって、出て行くお金がもっとたくさんあれ
ばその会社はつぶれる
バカでも安く買える仕組みを作る。
あまり極端なことを言うと引かれてしまうかもしれない。でも本当に大事なこと
なのだ。
今まで調達・購買にかかわることについては難しい言葉が使われていた。難しい
数式を並べたり、サプライチェーンマネジメントと言ってみたり、商品ライフサイ
クルとか。
purchasingとsourcingの違い、などなど。もちろんこれらがすべて難
しく、意味のないことだとは言わない。私自身もこれらを通じて学んだことは多い。
だが、それらを学んでいるときはいいけれど、実際に実務に応用しようとすると
全くできない。勘と経験と度胸だけではだめだということは分かっていながら、小
難しい知識もどうも使えないものだから、結局は今までのやり方を踏襲するか、人
脈を使った購買活動を皆は今でも続けているのだ。
私はあるとき某企業で講演をしたことがある。その帰りに、購買部長の方から声
をかけられた。「たしかにおっしゃることは分かるけれど、今の私たちが新しい購買
活動を始めることはできない」。と言うのだった。私が提案した方法は、サプライチ
ェーンマネジメントとか、そんな難しい横文字の言葉ではなかった。それでもなお、
今のままのやり方を踏襲するのは、「一番良い」ということなのであった。おそらく
この人の場合、長年の購買活動が自分の中の桎梏となり、新しいことにチャレンジ
するのを妨げているのだろう。
もちろん私は地道に働くことが好きだ。地道に購買活動を続けていっている人の
輝きは大好きだ。だけど現状通りこつこつやって、少しずつの成果を得るよりも、
バカでも安く仕組みを早くつくるべきだと思う。バカでもラクして安く買える仕組
みをつくるべきだと思う。
一例をあげよう。ある百貨店では赤字に苦しんでいた。いい婦人服を仕入れて売
ろうとしても、全く売れないのだ。従って安くするしかない。安くしたらかろうじ
て売れるが、それでは仕入れ値以下になってしまうこともある。どうせ安くしなけ
ればならないからと、もともと安い粗悪品を買ってきたものの、それではもっと売
れない。そうやって、その百貨店は負のスパイラルに陥っていたのだ。
その百貨店はバイヤー教育というものをやった。著名なバイヤーの講演を聞かせ
てみたり、難しい数式の入った授業を何回も受けさせた。でもその効果が出ること
は全くなかった。その百貨店が改善に成功したのは、ささいなことからであった。
バイヤーを売り場に立たせたのだ。それだけだった。