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2-(5) 調達・購買力はどのようにして獲得するのか「私の経験」
「すみません。負けました」
絶体絶命のトラブルに襲われたことがあります。私の担当していた半導体が全く入らないのです。「普通でしたら3ヶ月待ちですよ。それを2ヶ月待ちにしているんですから」と営業マンは語りました。しかし、それでもまだ3週間早く納入する必要があります。さらに悪いことには他の部品は全て納入できる目処がたっていました。
私はよほどのことがあっても上司に泣き言をいうことはありません。できる限り自己完結するのがビジネスマンの義務だと思っています。しかし、このときばかりはそうは言っておられませんでした。私の担当部品だけのせいで生産ラインがストップする可能性すらありました。
まずは課長を交渉の場に引きずり込みました。納入前倒しの交渉です。しかし、結果は全く改善しませんでした。次に部長。お願いして、サプライヤーの営業本部長に納期改善を依頼してもらいました。それでもダメ。
困った私が社内に助けを求めると、「あの人に頼んでみたら」というのです。「あの人」とはそのサプライヤーをかつて15年も担当していた元バイヤーです。彼にコンタクトすると、「よっしゃ」とサプライヤーの工場長や数々の関係者に電話してくれました。
すると、驚くべきことに2週間後には全数が納入される運びとなりました。私はお礼をすると同時にバイヤーとしての年季が劣っていることを認めざるを得ませんでした。彼は「まぁ、昔から知っているからね」とだけ。
私は「ありがとうございます。本当に感謝します。それにしても、私の負けでした」と言うしかありませんでした。