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7-(3) 営業マンの立場を理解する「自分の都合ばかりでなく」
正直、呆れてしまう営業マンでした。それでも、今ならば分かります。私が、日ごろこの営業マンに対して配慮を欠いていたと。営業マンの立場を理解せねば、最終的には自分の不利益になってしまうと。
結局、言い負かして無理なものを合意させたとしても全く意味がない。それは、単にサプライヤーとの間にひずみを生じさせるだけに終わるのですね。
ときには当然の権利を主張せねばなりません。しかし、バカをバカと改めて認定しても何の改善にもならないように、「サプライヤーの責任」を「サプライヤーの責任」と押し付けたとしても、なんら改善をさせることはできません。
前述の例で言えば、重要なことは、営業マンにそのような嘘をつかせないくらいの信用を勝ち取ることだったのです。営業マンの立場を理解し、信頼関係ができていれば、とんでもない大惨事などは起きません。だって、モノをつくることなど、生産工程上で一体どれを先に流すかという意思だけで決定することが多いのですから。営業マンを通じて工場に協力してもらえればいいのです。
優秀なバイヤーの共通点はまさにここの点にあります。それは、常に営業マンのことを考えるということです。営業マンの出世を考えてあげる人。営業マンがコスト低減の見積りを提出できるように、社内に説明する理由を一緒に考えてあげている人。営業マンとスムーズな業務が出来るように日々考慮している人。
もちろん、あまりにやりすぎると癒着です。ただ、営業マンを取り込み、こちら側に振り向かせようとする努力を惜しまない人は優秀でした。
それは八方美人と異なります。「営業マンは会社の代表のように振舞っているが、もちろんこの人だけが全てをコントロールできているわけじゃない。だから、不都合があったとしても、この人のせいばかりじゃない。この人も組織の中の一人なのだ」と当然の理解をすることです。その理解の上で、自社のためにやる気になってくれるように仕向けるだけです。協力してくれるように説得し、自分に対しては嘘をつかず真摯に仕事をしてくれるように信頼を勝ち取ることです。
営業マンを信頼しなければ、信頼されることもない。言い負かすことだけを考えていれば、いつか綻びが生じる。信頼すれば、信頼される。許せば、許される。なんだか道徳教育みたいでいやですね。でもそれは、人に優しくする、とは回りまわって自分のためになることだからです。