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8-(1) 社内の意識を変える「調達・購買部門の意識を変え、社内を変える」
さらにその後、強い調達・購買部門を持つ企業はやはり全部門が一つの戦略を共有していることを知りました。まず、全体構想のコミットがあり、各部門がその構想を具現化できるように動き出すのです。
全社的な戦略を合意する仕組みになっていない企業が多いと思います。一人のバイヤーが企業全体の方向性を決める会議を主催することはできないかもしれません。
しかし、簡単にできることもあります。
バイヤーが年に一度必ず関係部署を集めて調達・購買戦略のプレゼンテーションをすればいいのです。実務担当者だけで構いません。課単位で実行してもよいはずです。
生産部門から設計部門からあらゆる関係者を一斉に集めてプレゼンを実施する。こういうことができますか?
入社一年目のバイヤーであっても、「自分がどう考え、どうしていきたいか」をプレゼンテーションするのです。
おそらくプレゼンテーションをしたら、「そんなの無理だよ」とか「そりゃありえないよ」といった意見がたくさん出るでしょう。矢のような質問が飛ぶでしょう。「そんなことも分かってないのか?」と皮肉を言われることもあるでしょう。ベテランバイヤーが否定されていくさまを見ることになるでしょう。
でも、それでいいのです。本当にそういうレベルなら、まずはその醜さを明らかにしたほうがいいのです。全部門と対等に話そうとしなければ、バイヤーの意識が変わるはずはありません。全社の意識が変わるはずはありません。
そもそも、そういうツッコミをクリアできない戦略であれば、戦略として成立しません。役に立つこともありません。これまでタコツボに潜んでいたバイヤーを表に出すいい機会ではないか、と私は本気で思います。
その過程では、各部門を説得することが困難であることを知るでしょう。もがくでしょう。もう「調達・購買戦略なんてどうでもいいや」と言ってしまうくらいの面倒くささがあるでしょう。
しかし、繰り返しですが、組織を少しでも動かすとは本来そういうことなのです。そういうことができないのであれば「調達・購買に戦略なんてありません。ただ安ければいいんです」と言ってしまったほうが素直です。
これまでの反省なしには、意識改革は進みません。調達・購買戦略が浸透していないのであれば、その現状に危機感を持ってください。
危機感がなければイノベーションは生まれないからです。