8-(6) 電子調達の推進「雑感」

8-(6) 電子調達の推進「雑感」

先端企業の取り組みに驚いたことがあります。とある超有名企業の調達・購買部門が主導しシステム仕様まで決定した電子調達システムは、「ちょっとした見物」でした。

サプライヤーは見積りを提出するときは紙に押印したものではなく、オンライン上で回答します。それは、e-RFQやリバースオークションと同じではないか、と思われた方。それだけではありません。

そのシステムでは、その見積り回答(詳細に記載させます)を元に

・ 競合他社と比べ勝っているところ・劣っているところは何か(例えば、材料費が他社に比べて安いとか、加工費が高いとか)

・ 直近の競合結果と比して割高・割安なところは何か

・ 発注実績と比して割高・割安なところは何か

といった数々のデータが一瞬でできるのですね。それを見ると、調達・購買のプロフェッショナルの思考パターンをそっくり真似たような「完璧さ」がありました。

「これが一瞬でできるのであれば、もうバイヤーなんて要らないですね」という発言に対して、非常に印象的なコメントをもらいました。

「それは、半分正しい」と。「でも、こういう手作業でやっていたマニュアル化できる業務は元々雑務に近い。元々バイヤーの時間を使ってはいけないこと。浮いた時間は、機械ができないような『本当に頭を使う仕事』、例えば戦略を構築したり、現場で現物を見ながら改善案を練ったりすることに使ってほしい」と。

耳の痛い話です。その「雑務」にほとんどの時間を割いているバイヤーならばなおさらでしょう。

「電子調達とはかくあるべき」というお手本はこのような思想の下に構築されたのだな、と感心する瞬間でした。

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