大企業から100億円を騙し取るなんて簡単だ

大企業から100億円を騙し取るなんて簡単だ

「不況で、売上が芳しくない」という悲観主義と、「客先からの受注が好調で、生産が間に合わない」という誇称が、実は同じことを示していることに気づく人はほとんどいない。その共通点は、「自社の売上は、他社に依存する」という絶望的なほどの自主性の不在だ。

私は製造業のなかで調達部門に属していることもあって、中小企業の方々と会うことが多い。そして、残念ながら、彼らのほとんどが間違った営業を行っている。例えば、私は、中小企業から売り込みの打診があり、製品・会社案内のパンフレットをよくいただく。ただ、断りきれず受け取った、それらのほぼすべてはお別れした1分後にはゴミ箱に行くことになる。これが現実だ。

あなたが製造業相手に何かを売りたいならば、覚えておいた方が良いことがある。それは、相手企業の調達・設計担当者は「あなたの会社がいかに素晴らしいか」など全く興味がないということだ。相手の興味は、

・ 「何でもいいから、いくらでできんの?」

・ 「おたくの技術を使ったら、どんな良いことがあるの?」

・ 「なんで、ウチらがあんたらを信頼できんの?」

ということにしかない。ほとんどの中小企業は、誰も聞きたくない社歴をダラダラ語ったり、一方的に「技術の優位性」とやらを自慢したり、誰も理解できない横文字を並べたりする。自社に自負を持っているほど、「相手視点」を失念してしまう。プレゼンとは、説明するものじゃない。相手に聞いてもらうためのものだ。だから、そのことを理解している5%の中小企業だけが、不況の中で売上と利益を伸ばしている。

私は著作「牛丼一杯の儲けは9円」(幻冬舎新書)のなかで、買い手側から見た、売り手という「懲りない面々」を描いた。「不況だ、不況だ」と騒ぐだけで何も改善しようとしない多くの中小企業がいてくれるおかげで、今こそ売上を伸ばしやすいチャンスにあふれた時代はない。私は、買い手として、買い手が惹かれてしまう企業の条件を分析してきた。その大きな一つは、前述の3点だけに的を絞って語ってくれることだ。

それは、「相手先の顔色だけを見て営業しろ」という下請根性丸出しのものではなく、その逆で、ムダな売り込みを避け、自社の技術を最も必要としている企業を瞬時に見つけ、両社にとって利益を創出していくものである。そしてそれは、これからの時代の中小企業の闘い方でもある。

KY(「空気を読めない」)という言葉が流行った。でも、この時代に最も「使えない」企業は、時代を読めず、相手の空気しか読もうとしない企業だ。

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