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モテる企業、ゴミ箱に捨てられる企業
製造業の調達部門に属する一人として、様々な企業に出遭ってきた。儲かる企業、儲からない企業。それらを観察しているうちに、売上と利益を伸ばし続けている企業の秘密を発見した。当連載の最終回として、この凄い秘密を大公開しよう。
それには、業績の悪い企業の特徴を紹介するところから始めなければいけない。注目してほしいのは、彼らのその口癖である。必ずこう言う。「本当に儲からないんです」とか「赤字製品ばかりです」とか、そんなものだ。
もちろん、これらの発言は、真意ではなく、「安く売っている」ということをアピールするためのものであることは理解できる。しかし、彼らは、一人の商売人として、「自分は、儲からない=無能」であると表明していることには気づかない。そして、もっと重要なことは、「儲からない」というフレーズを繰り返すことで、潜在意識に刷り込まれ、本当に儲からなくなってしまうことだ。
言霊というのは本当にある、とあえて言う。いささか宗教めいた説明だとお感じの方もいるかもしれない。しかし、強調しておきたいのは、「現実が意識を生む」のではなく「意識が現実を生む」という真実である。
売価100円、原価90円のものがある。それをあなたは大袈裟に「赤字だ」と説明する。しかし、それでもバイヤーからは、値引き要求をされる。そうすると、その売価を89円にして、赤字にしてしまうことこそ、あなたの中で整合性をとる唯一の手段となる。必ず人間は、その整合性をとろうとする。そして、あなたは本当に赤字で売ってしまう。
これは逆説ではない。常に人間は自分の言葉を現実化しようとする。なぜか? そういうもんだからである。
だから優秀なバイヤーは、自分がやってほしいことを、相手の口から語らせる。取引先の納期遵守が厳しいときは、「納入お願いします」とは言わない。「『期日通り納入したい』と思っていますか」と訊く。「そりゃ、こっちだって、納期は守りたいですよ」と取引先が答えようものならば、「納入したいんだったら、がんばりましょう」と言う。
もともとは無理な納期だったにも拘わらず、その期日で納入するのが取引先の「希望」だったかのように立場を逆転させる。発した言葉を、人間は裏切ることができない。
もう、お分かりだろう。
儲かる企業の社員は、「儲かりません」「赤字ばかりだ」と言う代わりに、「一緒にもっと儲けましょう」「おかげさまで儲かっています」と言う。私の経験で、これは共通している。
あなたが営業マンとして、まずやるべきことは、口にするセリフを変えることだ。社長だったら、社員の口癖を変えよう。これほど業績アップに簡単で確実な方法はない。
考えてみれば、いつも「金がない」「生活が苦しい」とばかり言う男がモテるはずがない。モテる企業・男の条件は、いつの時代も「自信がある」と「金がある」だ。