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原材料調達の値上げ短期化
先日報道された内容によれば、新日鉄住金ステンレスが国内の一般流通価格について、これまで以上に迅速な価格反映を実施するという。どういうことか。それはステンレスに使われる原料であるフェロクロムやニッケルの調達価格の上昇を、すぐさま自社の販売価格に転嫁するということだ。
ニッケル系とクロム系で上がり幅は違うものの、4月から早速「値上がり」になっているという。おそらく、現場の価格交渉では侃々諤々の議論が交わされていることだろう。
これまで、材料系の価格を決めるときに、どうやって原料価格の高騰(下落)を反映していたかというと、「過去数カ月の平均原料価格を利用する方法」が一般的である。これは、材料によってそのスパンがさまざまであり、習慣や慣例に従うことがほとんどだった。
たとえば、厚中板であれば(報道によると)これまで取引時点から遡ること2ヶ月の平均価格を採用していたという。それを、今回1ヶ月のスパンに変更するというのだ。どちらかというとこれまで中期的な価格を反映していたところ、短期的な、まさに「直近価格」を反映しようとしているのだ。
しかも、これはこの新日鉄住金ステンレスだけの動きではない。このことから注意すべきは次の点である。
(1)材料調達は、これまで以上に情報戦の様相を呈してきたこと
(2)市況変動から価格決定までのスパンが短くなり、バイヤー企業の体制も機敏性が求められること
(3)バイヤー企業は、価格変動にたいしてこれまで以上に社内説明が求められるようになること
おそらく、材料獲得とは情報獲得と同義だろう。もう、そんな時代がそこまでやってきている。