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クラウドという悪夢
クラウドコンピューティングという言葉が席巻している。この言葉についてはもはや説明を要しないだろう。PC(パーソナルコンピュータ)上にデータやアプリケーションを置くのではなく、クラウド(サーバー)上に置く。GoogleやYahoo!に代表されるようなシリコンバレーの企業はこぞってこのクラウドビジネスに参入した。
利用者はインターネットエクスプローラーのようなブラウザソフトさえあればいい。あとは、ネットを介して各社の保有するサーバーにアクセスして情報を操作・獲得すればいい。PC(パーソナルコンピュータ)が壊れてしまっても、何の問題もない。なぜなら、サーバーに情報を保管しておけば、なんら心配することはないからだ。
そのようなBtoCの世界で急速に広がったクラウドビジネスであったが、これがBtoBになるとなかなかうまくいかない。せっかく安価なクラウドサービスがあるというのに、それを活用出来ていないのだ。
BtoB向けのクラウドサービスの導入に今なお躊躇する企業があるのは、その情報が「他社のサーバー上に存在する」ということにある。すなわちセキュリティの問題だ。大企業は自社で巨大サーバーを持つことでクラウド環境を実現できるだろう。しかし、それほど余裕のない中小企業は、クラウドを実現すること=他社のサーバーを利用することになる。
たとえば、調達・購買であれば、取引の履歴や機密情報も他社のサーバーに入れざるを得ない。これに拒絶感を持つ人たちはかなり多い。私も「クラウドサービスはまったく問題がない」と言い切れるほどの自信家ではない。しかし、同時にクラウドサービスの利便性を活用できないとなると、日本企業の競争力は低下していくだろう。
すなわち、クラウドサービスとは、日本企業のセキュリティ思想と、システム自前主義の再考を迫る機会だったのである。