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中国人給料の深い問題
先日、ホンダ部品工場を舞台にしたストライキが報じられた。これを書いている時点で2週間が経過している。中国人労働者は、50倍ともいわれる日本人との給料差に不平不満を抱き、それを爆発させた。
私は50倍という数字が「ほんとうの倍率」なのかを知らない。また、やや違う事実を知っているので、この数字を元にした議論は避けておこう。また、報道がこの給与格差について何の意見も持ち合わせていないことに違和感を抱く。果たしてこれを報じたメディアは、その格差について妥当だと思っているのか。あるいは、妥当ではないので是正せよと思っているのか。
私はグローバルに展開する企業を応援したい立場である。なので、ホンダの、日本人と現地人との給与格差は「しかたのないことだ」と思う。企業は経済問題を基本にして動く。だから、たとえ50倍であったとしても、日本人をそこに置く価値があるのであれば置くだろう。また、そのような給与を与える必然性がなければ置かないだろう。
実際、各グローバル展開企業の駐在員は減少していると言われている。各国の技術が進めば、あるいは人材育成が進めば、それ当たり前のことだろう。しかし、それでもなお日本駐在員(米国企業であれば米人駐在員)がゼロになることはないだろう。
私は、このストライキが「口コミ」で広がったということに注目する。しかも、その「口コミ」が流布した給料格差はしっかりとした証拠をもったものではないらしい。ただ、それでも「口コミ」のみでこのような事態に発展する。
調達・購買の世界では、「ダイバーシティーマネジメント」という言葉が流行している。各国の文化的背景、宗教的背景……等々を理解し、それを調達活動に反映していこうとするものだ。これは口でいうのは易しいが、実践することは難しい。それに、そのような言葉は各国でストライキやら暴動やらが起こらないと、なかなか認識されないことでもあるだろう。
私はこの事件を嚆矢として、各グローバル企業がどのような「ダイバーシティーマネジメント」に着手するかに注目している。事象をふたたび繰り返さないこと。そんなカイゼンにこそ、日本企業の強みがあるからだ。