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日本でBPOの波は来るのか
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)という言葉がある。文字通り、企業の一部を外部委託することだ。近年では、欧米でプロフェッショナル業務のBPOも広がってきている。
それに対して、日本のBPO業界(という言い方があるのか微妙だが)は、遅々として拡大が進まない。もちろん、日本にBPOという文化がなかったことに加えて、そもそも業務がブラックボックス化しているために、外部に依頼することができないのだという皮肉まである。
調達・購買業務のBPOも海外では広がっているという。なるほど、アメリカで出会ったBPO業者たちは皆さん口を揃えて「好調だ」といっていた。日本が不況と叫んでいた2010年4月のことである。日本だけは世界に取り残されてしまった感が否めなかった。
また、依然としてあるのが「言語の壁」である。アメリカの企業がインドにコールセンターをアウトソーシングするのは理解できるが、日本人なら直感的に「日本ではありえないだろう」と思う。それが普通だろう。
これまで日本企業は重厚長大産業を目指してきた。固定費は上がる。ただし、変動費率を抑えることで、損益分岐点を突破したあとの利益の伸びは大きかった。
しかし、現在ではさまざまな要求が次々に変わりゆく時代だ。これまでの商品は売れなくなり、次々に新たな商品が求められる。となると、大量生産でマスをターゲットにしていた重厚長大産業は行き詰まる。
固定費を変動費化し、柔軟な対応を行うこと。それが世界におけるBPO拡大の根底にある。もちろん、重厚長大産業が無効であるとはいわない。しかし、トレンドは脱・重厚長大産業に辿り着こうとしている。
BPOが拡大するか否かは、日本の産業転換が成し遂げられるかの、一つの試金石になるだろう。あるいは、日本は違った変動費化構造を創りあげるのか。日本以外で広がるBPO化は、それを問いかけている。