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長浜キャノンの凄い技
「Fプロジェクト」を知っているだろうか。もし知らなかったら、あなたは「モグリ」である可能性が高い。もちろん、それは調達・購買という業界のなかで、かもしれないけれど。
この「Fプロジェクト」とは、長浜キャノンが取り組んできた調達・購買改革のことだ。しかも、コストの低減(値下げ)ではなく、生産効率を高めることによってほんとうの「コスト削減」を達成しようとしたものだ。
具体的には何か。DBR(ドラムバッファーロープ)という言葉を聞いたことがあるかもしれない。あるいはTOCという言葉でもいい。生産現場におけるボトルネックを抽出し、その編成効率やサイクルタイム、リードタイムを改善するときに使われる言葉だ。これらの活動を、「Fプロジェクト」ではメーカーを巻き込み、自社を含めた大きなSCM全体でやってしまったのである。
生産効率を高める――。口で言うのはたやすい。しかし、現場に落としこみ、実際に成果をあげることは難しい。この「Fプロジェクト」では、成果をあげている。その成果はたとえば部品メーカーで平均3週間のリードタイムだったところを、2週間ほどに縮めているという。
御存知の通り、工場とは固定費の塊である。固定費の塊から生み出される製品数が多ければ多いほど一つあたりのコストは下がる。また、短時間で生産できればできるほど、コストは低減していく。リードタイムが三分の二になっているとしたら、そのコスト削減効果は恐ろしいものだろう。しかし、それをやってのけた。
私は個人的に、このプロジェクトを主導していた人を知っている。リードタイムを短くするということ、不良率を低減させるということは並大抵のことではない。現場を一つひとつビデオに撮り、改善案をずっとずっと考え、地道に短縮していった結果だという。
日本のお家芸はモノづくりだけではない。このような地道で、かつ愚直な行為を繰り返すことで、大いなる成果に結びつけること――。次世代に伝えていくべきは、ほんとうはこのような「徹底した真摯さ」ではないか。