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国防のお金は果たして下げることができるのか
先日の報道によると、ロバート・ゲーツ米国防長官は7000億ドルといわれている米国防予算を削減(1000億ドルほど)すると国防関連商品請負業者の前で宣言したという。
ここで大きな柱とされているのは、次の三つだ。
1. 業者に毎年2、3%の生産性向上を依頼する(おそらく、この2、3%というのはコスト削減の原資にせよ、という意味であろう)
2. 現在、委託している業務のうち幾許かを米国政府職員に置き換えること
3. 契約方法の一部を変更すること(随意契約の見直しか、いまの時点では述べられていない)
これらだった。米国政府が民間並みに近づいてきている、という言い方もできるだろう。1.は企業がどこでもやっている、サプライヤーへの年次コスト低減にほかならない。2.は内外策切り替えに値するだろう。3.も、企業が支払い条件や競合条件を見直すことによるコスト低減だ。
ところで、面白いのが、このコスト削減の成果を「海外派兵部隊の装備と支援」に費やすとしている点だ。すなわち、購入量を削減することは目的としているものの、同時に他への支出額を増やすという構図なのである。これはほんとうのコスト削減かどうかはわからない。しかし、緊急の支出削減が求められた背景には、喫緊の事情がありそうだ。
これら米国政府のコスト削減案は、どちらかといえば、全体額を抑えつつ、しかし完全に減らすのではなく、他支出への原資としようとしている。
また、私見では、これらのコスト削減は、まだ仕様や使用条件には踏み込まず、まだ「できることからやる」という程度にとどまっているように感じられる。おそらく、仕様や使用条件に踏み込むのは今後、ということになるのだろう。
国防のコスト削減は始まったばかりである。