孫請け禁止の深い罠

孫請け禁止の深い罠

先日の報道によると、民主党議員を中心としたメンバーが「下請法勉強会」を発足させたという。内容は、孫請けの禁止についてだ。なぜか。

いま、下請法で、ある程度の下請業者を保護しているとされている。ただ、それは孫請けまでを対象としているものではない。孫請けになると、ほとんど管理できず、所得は低い(要するにピンハネが起きる)。さらに曾孫請になってしまうと、想像も絶するような低賃金になってしまう。これを是正しようとするものだ。

そもそも一部の建設では孫請けを禁止しているところもある。これを参考にするようだが、たとえばトラック業界などでは孫請けを禁止することはできないだろうといわれている。もうそのような業界構造が完成しすぎているのだ。

私はそのような業界構造を破壊するな、といいたいわけではない。ただし、別の観点から孫請けを禁止することに反対するものである。

1. 孫請けがフォーカスされているが、そもそもその親業者の管理・マネジメント能力を無視しているように思われる。孫請けが直接仕事を受注することは、多くの場合きびしい。

2. 孫請けを禁止することによって、単に複雑なスキームができるだけのことだ。現在は不況から孫請けではなく、親業者の(つまり下請業者)内部で仕事をまわしたいという意向も大きい。それでもなお孫請けを使っている場合にはそれ相当の理由がある。形式上でも孫請けを禁止するのであれば、なんらかの変形スキームが出てくるだけだろう。それは、「現状はいっしょ」「でも、規制にはひっかからない」という日本独特の、あのことだ。

3. (多くの場合は最低額を規定するなどの)賃金水準を無理に変更しようとする、請負金額を無理に変更しようとする政策は無効である。

これまで最低賃金の議論がなされてきた。ただ、過度な介入はいつでも誤謬をもたらす。

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