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マーケットの速さにみんなは勝てるのか
石油、鋼板、これらの世界に地響が聞こえる。
たとえばJX日鉱日石は石油の卸売価格を週次に変更すると決めた。また鋼板の世界でも、四半期ごとの変更が実施される。
これは何を意味するのだろうか。
一言でいえば、単一価格での中期的調達はできないということだ。これまでは安定した価格で一年、あるいは半年は調達することができた。しかし、3ヶ月ごと、あるいは週次で価格が変更していくのであれば、それは「不安定調達」と呼ぶしかない。
どうすればいいのだろうか。
私は思う。唯一の答えは、「リスクを最大限に減らすこと」だと。材料の長期価格予測が可能だという人がいるけれど、あれは間違いだ。学問的にもコモディティ価格の長期予想はできないと明確に否定されている。できるとすれば、それは預言者か占い師のどちらかだ。
ではリスクを減らすとは。
それは商品や材料を調達する立場からは考えられなかった、ファイナンス理論を応用することだ。オプション取引に、デリバティブ。調達・購買部門の人が知らないところで、これらの金融商品は日々進化を遂げている。
正確には微分方程式を解いてオプション価格を算出する必要があるけれど、そこまではいいだろう。すくなくともマーケットでそれらの金融商品をウオッチし、売買することはできる。ファイナンス上で、価格と量をヘッジするのである。
そうすれば、価格の異常な上昇による損失も最小限化することができる。また量の確保も可能となる。
ただ、金融商品と製造業がマッチするかは微妙な問題だ。製造業の人たちは、その中身をほとんど知らない金融業にたいして「虚業だ」と繰り返した。ほんとうは金融業はリスクをヘッジさせるノウハウをたくさんもった存在だ。この二者の結婚は成立するか。
私の興味はそこにある。