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韓国部品調達は遅すぎるのか
先日、自動車大手各社(トヨタ自動車や日産自動車など)が、コスト競争力のある韓国サプライヤーからの輸入について積極的になったことが報じられた。具体的には、韓国で実施される展示会に参加してそこで同国との商談を実施するようだ。
もちろん、商談の実施などどこの国ともやっているし、これだけの事実を見て「韓国調達に積極的だ」という判断は尚早というものだろう。しかし、私はここに一つの象徴を見る。
多くの人がご存知の通り、電機業界などはすでに韓国調達に乗り出していた。ただ、自動車業界ではなかなか進まなかった。これは諸説があるものの、私から見ると「電機業界のコストは大変厳しかった」ことにあるのではないかと思う。どんな世界でも精神が実存を動かすのではない。実存が精神を動かすのだ。私が話をしたことのある電機業界の調達・購買担当者も「品質に若干難があれど、いかに韓国サプライヤーを使うかが課題だ」といっていた。つまり「使うことありきで、品質問題はあとまわし」というわけだ。
自動車業界は、まだ国内の販売価格の下落は防げていた。もちろん、下落はしているものの、電機業界との比較の話だ。それがいよいよコスト安価な韓国勢に飛びつかねばならなくなったというわけだ。
加えて、日本の自動車産業は、韓国のそれと類似しているといわれていた。産業構造が類しているのだ。しかし、日系自動車企業各社は、垂直統合型がほとんどで、外の風(すなわち海外サプライヤーのことだ)をよしとしなかった。
ここまできて、私の冒頭の感想「私はここに一つの象徴を見る」の意味がわかってもらえるだろうか。垂直統合から、水平統合へと、自動車メーカー各社も舵を取らねばならなくなる日も近い、と私は思う。
それは日本にいる系列企業の切り捨てを意味するのだろうか。それは違う、と私は思う。少なくとも、それを意味してはならない。切り捨てではなく、日系の系列企業には韓国勢とは別の付加価値商品を生産するように方向づけること。
それを目指さねば、私のいう「象徴」とは没落の「象徴」でしかない。