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資源は儲かる、はほんとうか
不思議なことがある。かくも世の中の言説がこれほど変わってしまうのかということだ。二つあげよう。
1. コンサートは儲からない。これからはCDを販売するアーティストでなければならない。
2. 資源は儲からない。これからはコンポーネンツを作るメーカーにならねばならない。
この二つの言説は10年前にいわれていた。それが唯一の預言かのように。
しかし、そこから幾星霜。いまではこのよういわれている。
1. CDは儲からない。これからはコンサートに人を呼んでTシャツを販売するアーティストでなければならない。
2. コンポーネンツを作るメーカーは儲からない。これからは資源を集める業者にならねばならない。
まったく正反対なのだ。私は10年前の言説が間違っていたとは思わない。たしかに、10年前の状況でいえば正しかったんだろう。しかし、それは面を切り取ることではあっても、将来を切った言説ではなかった。いまでは、コンサートと資源が儲かるというのである。
私はここから託言的なことを申し上げるのは止めておこう。ただ、一つ言えるのは「今の状況だけを見て、将来を予想する原論のあやうさ」である。人は目の前のことほど大きく見える。それが世の中の全てであるかのように。しかし、それはあくまで現在を切り取ったものにすぎない。
そこで、と私は思う。
今の報道はあまりにも資源がすべてを翻弄するというニュアンスで語られ過ぎではないか。もちろん、製造業の調達のほとんどは材料に翻弄される時代がやってきている。それを認識していないのは最悪だ。しかし、私たちにはできることがある。デリバティブ等の金融商品を活用すればヘッジできる。問題はその先なのだ。
資源問題が解決したあとに、次に世の中を席巻するもの。そこに目を向けておかないと、資源調達にかかわる原論や意見はすべて虚しい。
少なくとも私にとっては、そのような観点からしか昨今の報道を見ることはできない。