米国生産の回帰という第三の道

米国生産の回帰という第三の道

驚く報道だった。米ゼネラル・エレクトリックは、なんと2014年までに米国内で工場を新設するという。しかも、冷蔵庫だ。この旧態依然とした(失礼!)白物家電こそ、新興国シフトが進んでいたはずではないか? それを4億3200万ドルかけて設立する方針だという。

このような動きははじめてではない。トヨタ自動車も主要車種の生産をアジアではなく、アメリカに移管すると発表した。また、同社の取り組みを真似た動きは他にもある。

つまり、日本労働者の敵はアジアだけではない。アメリカのような先進国にも広がっていたというわけだ。この動きは二つの要因があるといわれる。

1. 労働者保護の観点

2. 為替変動への対応、需要地で生産するという物流費削減の観点

労働者保護の観点は政治的な要因を多分に含むのでここでは議論を止めておく。ただ、注目したいのは2.のほうだ。これまで「安かろう、そこそこだろう」という印象で突き進んできた新興国シフトであるが、そもそも「安い」という基準は為替レートによるものだった。中国の労務費も、対中為替も一定ではない。そこで見なおしてみると、意外に先進国の労働者でもメリットがあるじゃないかというわけだ。

ここでもう一つのトピックが浮かび上がってくる。

円高の悪弊とは、単に輸出立国にいる日本企業の利益を減少させるだけではない。通貨の弱い通貨(ドル安のドル)側に労働もシフトしていくという問題がある。これには注目すべきだろう。

すなわち、GEの発表した米国回帰とはきわめて為替レート・ドリブン的な要素があったというわけである。

日本の労働者ここに危機を読みとかねばならない。単に輸出立国の貿易赤字拡大を見ていてはいけない理由がここにある。

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