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想定レートの見直しと日本企業の明日
先日、立て続けに大手製造業各社の想定レート見直しが報道された。ソニーは一ドル=90円から、83円に。もともとかなり円高予想をしていたホンダも、85円を80円に切り替えた。
なかでも「面白い」取り組みは東芝のそれだ。同社は70円の想定のもと各ビジネスプランを見直すという。70円という「超」円高の前にあっては、かなりの事業が苦しい立場に立たされる。
さて、ここで円高哀歌を述べたいわけではない。注目すべきが、これら製造業の報道の前で、非製造業はほとんどニュースになっていないことだ。製造業は二つの問題をはらんでいるといわれている。
・円高の問題。輸出産業が円高になると状況が悪化するのはこれまで繰り返してきたとおりだ。
・もう一つは固定費の問題である。製造業は減価償却費や生産工場などが固定費としてのしかかり、売上高・生産数減少のときは障害となる。
この二つの問題を抱えざるをえない製造業が「呻吟」の対象として報じられるのは、ある意味では当然だった。
こうなると、企業は二つしか取るすべがない。
海外生産を積極的に進めること
固定費の変動費化。すなわち生産をOEM化すること、あるいは広い意味での外注化すること
この二つである。そこには「ものづくりニッポン」のかつての姿はない。しかし、その二つしかとりようがなく、かつ現実にもそう動いている。
これを哀歌と見るか希望の賛歌と見るかは、旧来の固定観念に縛られているかどうかによって異なってくるだろう。生産現場が日本にあるということは、たしかにモノづくり立国の日本にはふさわしかった。しかし、工場はない、でも明るいニッポンを目指す時代はもうそこまできている。