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ツムラの異常な愛情
先日の記者会見は、ある意味衝撃的だった。ツムラ社長は、先日の記者会見において、「中国からの調達品にまったく問題がない」ことを述べた。くしくも、中国からレアアース等の輸入を実施している企業がいっせいに安定調達への危惧を表明したばかりだったから、この自信満々の発言は爽快感さえ与えた。
同社は、「中国当局や調達先と健全かつ良好な関係を構築しており、調達上の問題が起きることはない」という。ツムラは、現地企業と共同開発を行っている。ジョイントベンチャーも立ち上げており、積極的な交流を実施している。
これを単に「調達部門の優位性」とか「サプライヤーマネジメントの重要性」とかいう観点から語っても、「そりゃ当たり前だ」という感想しかもたらさないだろう。現地や調達先との関係構築はいまさら強調しても、「そりゃそうだよね」というレベルのものでしかない。
ただ、それでもなお私が強調したいのは、同社の「選択と集中」による調達先との関係強化である。同社は現地企業をむやみやたらと増やすのではなく、特定企業(特定国)との蜜月を進めてきた。
私は以前、著作において「戦略的癒着」というフレーズを使ったことがある。癒着がいけない? とんでもない。これから必要なのは、特定企業との戦略的な癒着ではないかと述べた。多数のサプライヤーなど要らない(もちろん、極論ではあるが)。それよりも、少数サプライヤーと安定供給や開発の特化を実施すべきではないのか。限られた資源を有効活用する意味においても、それはこれから外せないキーワードとなるだろう。そう語った。
私は自分の発言が正しかっただろうと自慢する気はない。
ただ、企業の成功例からわかることは、この「戦略的癒着」を進めることの利点である。戦略的癒着か、戦略なき困惑か。この二択しかない、というのは、それこそ極論だろうか。ツムラの取引先に対する異常な愛情。ここから学ぶことは多い。