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円高不況はほんとうか
円高不況なるものがあるという。ほんとうだろうか。おそらくほんとうだろう。日本では輸出の48.6%をドル建てにしている。この対ドルレートが変わっているのに「影響なし」であるはずはない。
ただ、ここで指摘しておきたいことがある。
それは貿易で使われている通貨の変化だ。ここに一枚のレポートがある。それによると、平成13年(2001年)には輸出のドル比率は52.4%もある。この10年にわたって日本全体としては、リスクヘッジを図ってきているといえる。少なくとも、影響の度合いは軽減しているはずだ。
どうも、輸出企業側の悲鳴だけが強調され、輸入企業の便益は隠蔽されていると思わなくもない。
実際、平成13年(2001年)時に、輸入に使用される通貨は米ドルが70.7%で、現2010年が71.7%だ。ほとんど変化していない(むしろ微妙にドル建てが増加している)。よって、輸入は円高のメリットを受けやすくなり、輸出は円高のデメリットを軽減できるようになっている。これが貿易統計上の事実だ。
もちろん、貿易上の使用通貨のみで語るのはあやうい。輸出入にはさまざまな要因がからみ合って、その結果として何らかのメリットやデメリットがある。ただ、円高が昔から変わらぬ悪影響を与えているというのは違うのではないかと申し上げたいだけだ。
私は「円高のメリットを享受せよ」と述べてきた。分かりやすいのは輸入というものだろう。実際に各社の調達・購買部門は輸入比率の増加に向けて日々努めている。
見方を換えれば、調達・購買部門には絶好の時代とも言えるだろう。円高のメリットを最大に享受できる、すべき時代になったということだから。
円高は必ずしも悪いものではない。それは状況と文脈によって変化するのである。