ガソリンの値上がり戦争

ガソリンの値上がり戦争

先日、某テレビ局でガソリンの値上がりについて説明して欲しいと頼まれた。「なぜあがっているのか」。それに対する、私の回答は「ガソリン価格なんて原価に関係ありません」というものだった。

ご存知のとおり、原油価格は全世界の1%にすぎぬ米国市場の、さらにWTIというたった一つの市場価格が全世界に影響を与えている。なぜ今回は、1バレルが80ドルではなく90ドルなのか。そんなことに理論的な説明を加えることができる人がいれば、とっくにその人は金持ちになっているだろう。実際の取引は、金融商品から現物へと流れてきたマネーが影響するし、もちろん産出国の供給量も影響している。さらに、それらの背景をもとに需要と供給の関係が絡みあう。

だから、「値上がりしているのは、そりゃ市場が決めたからですよ」としかいいようがない。そのように解説することにした。結果、テレビのそのシーンはカットになってしまった。「どうしようもない」のであれば、視聴者がどうしようもない。だから、流す必要がないと判断されたのであろう(そりゃそうだよね)。

しかし、ここで一点だけ指摘しておきたい。それは「円高なのに、なぜガソリンが値上がりし続けているのか」というものだった。もちろん、それは「円高以上に原油価格が上がっているからだ」。しかし、私が指摘しておきたいのは、円高を資源収集に使えていない現状である。

日本国は原油備蓄を行っている。正確ではないが、200日分ほどの原油を確保している。しかし、その量は為替に関係なく決まっているのだ。もし、円高を利用しようとすれば、円安のときには備蓄の購入量を抑え、円高のときに購入量を増やすという方法も考えられる。これは原油だけではなく、さまざまなエネルギー資源について共通でいえることだ。

円高を嘆くだけでは意味がない。ならば、その円高を活用する方策を。それを次なる政権に期待しても、それは無意味なことだろうか。

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