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1-(2) 調達・購買が会社に与える影響とは「私の経験」
「そんなことは設計に聞いてくれ!」
こういう言葉をよく聞いていました。周りの先輩バイヤーが営業マンと話しているときによく出てくる言葉でした。話がコスト以外のことになると、決まってそう発言するのでした。
バイヤー仕事は「金を下げることだ」という認識に間違いはありません。コスト低減は今でもなお、バイヤーの主業務の一つです。
良くも悪くも、企業の中で分業が進んでいるせいか、コストや納期に関わることだけがバイヤーの業務で、その他の仕様に関わることは全て設計部門に丸投げすることがあります。新しい製品の売り込みですら、「そういうことは俺じゃ分からないから、設計に言ってくれ」とまで割り切ったバイヤーもいました。
どの企業でも、基本的には調達・購買部門だけがサプライヤー窓口として交渉にあたることになっていますが、たいていは設計部門が率先して仕様の打ち合わせをし(ときには価格の交渉まで)、調達・購買部門は最後に見積書を届ける先としてしか役割を果たしていません。
おそらく、それはこれまでのバイヤーの業務が受身であったからです。しかし、昨今の企業を取り巻く環境の変化に対応するためには、バイヤーが能動的に社内外に情報を発信していかねばなりません。
変化が目まぐるしく、設計(生産技術)部門だけでは分からないことも増えており、調達・購買部門がガイドラインを設定する必要もあります。
特に独自規制を多く持つユーロ圏向けの製品では、どの環境対応レベルの部品であれば基準をクリアしているかを社内に明確化してやらなければいけません。
ある有名メーカーの調達・購買部門は、他社に先んじて独自の環境基準を作成し、全てのサプライヤーに訪問し格付けを行っています。この結果は調達・購買から社内への強いメッセージとなり、この基準を満たすサプライヤーのみから調達することを義務付けています。