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1-(3) 調達・購買が抱える問題とは何か「私の経験」
「大卒なのになんでこんなことやってるんだろう」
私は驚きました。仕事で中国に行ったときのことです。
中国へ行った目的はサプライヤー調査と、自社工場の手伝いでした。サプライヤー調査が終わり、自社工場に行ったとき、「現場を知らねばいけないから、まずは現場の手伝いをするように」と言われたのです。
自社工場に着くなり、渡されたのは、薄い灰色の作業着と軍手でした。身につけていたネクタイをはずし、ズボンも脱いでロッカーに入れることを指示されました。
そして、簡単な安全教育を受けた後、突然現場に連れ出されたのです。荷物の受入場でした。
「ここに荷物が届く。そうしたら、荷物を開梱し、部品をピックアップする工員がいる。しかし、完全に人手が足りるわけではない。たまにラインで部品が足りなくなることがある。どこかのラインで部品が不足したらそれを素早く持ってきてくれ」
たったそれだけの指示でした。
すると、すぐにあちらこちらから赤いシグナルが鳴り始めました。「ライン異常」のサインです。私はそこにとりあえず走りました。
何が起きたのかは全く分かりませんでした。ただ、部品が足りず、工員は急いで作業をやりながら、少しの時間を浮かし、部品集めに翻弄していることは分かりました。ラインわきにセッティングされた部品が不足しているのです。
私は工員の指した先にある部品置き場に走って取りにいきました。そして走って戻ってきます。やっとそこには部品が充足され、一段落です。
すると、違う赤いシグナルが点灯します。大変な二日間が過ぎ去って行きました。
言葉も通じない国の工場で、汗だくになりながら、単純作業を繰り返す工員と私。
「今ごろ、日本ではみんなが涼しい部屋で仕事をしている間に、自分は何をやっているんだ?」と繰り返し考えました。
作業着は背中も汗だくで、ときには一日に2回も作業着を換えなければいけないときもありました。
昼休みのロッカーで、「大卒なのになんでこんなことやってるんだろう」と考えてしまったことを今でも思い出すことができます。
しかし、こういう私の頭を殴られるような事件がありました。
5日が経ち、やっと終了を迎えた日のことです。皆工員が呼ばれて、なにやらラインの班長が、何かを言っているのですね。もちろん私は分かりません。すると、工員に笑顔が浮かびました。大歓声がうまれました。
拍手をする者。ガッツポーズをする者。お互いが見つめあい、「よかった、よかった」と言っているようでした。
一体何が起こったんだ?数名の日本人のスタッフに聞いてみました。
すると、答えはこういうものでした。
「いやぁ、納期が間に合うか間に合わないかギリギリの製品があってね。なんとか、お客さんの指示通りのスケジュールに発送できたんだよ。しかも、今までに経験したことのないくらいタイトなスケジュールで。しかも、過去最大の量をね!」と。
まだ拍手は続いていました。
正直、「何なんだ、これは」と思いました。「この騒ぎは何なんだ?」と混乱していた私の隣で日本人のスタッフはバンザイをしていました。