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1-(5) 調達と倫理「私の経験」
「今度はどの店に行こうか?」
毎週水曜日になると必ず早く仕事を切り上げる先輩バイヤーがいました。いつも、サプライヤーと飲みに行くのです。水曜日は常に定時帰り。最寄駅でサプライヤーと待ち合わせしている姿を何回も見ました。
そして、いつものごとく、自分がいかに自分の会社の中で発言権があるか、発注に関して権限を持っているか、を語るのです。そんな内容を毎回聞かされるサプライヤーの営業マンも気が狂いそうでしょうが、営業マンは文句も言えないようでした。
もちろん、そのサプライヤーが飲み代として支払った金額は、私の企業が支払ったお金がまわりにまわってきたものにほかなりません。毎晩の飲み食い代も、いつしか見積書に加算されていったのでしょう。
あからさまに発注の見返りとして賄賂をもらうよりはマシでしょうが、食事も結局は利益の贈与でしょう。
その後、もっとひどい例を聞きました。毎日、夕方頃になると意味もなく営業所にやってくるバイヤー。価格交渉のときに、店まで指定して場所を移動することを強制するバイヤー。
こういう人たちに共通するのですが、「あれだけ仕事を頑張っているんだから、多少は遊んだっていいじゃないか」と言うのです。また、「会社に対しては、コスト低減で貢献している。だから問題はない」と言うのです。
それはまさに免罪符のようで、自分が倫理規定に反しているという認識すらありません。 コスト低減をしたことと、キックバックを受け取っていい、ということがつながっていないという当然の指摘すら聞く耳を持ちません。