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2-(1) 調達・購買部門の強い企業、弱い企業「私の経験」
「ボールペンばかりで大変だよ!」
ある企業のバイヤーと話していて驚いたことがあります。その企業では毎日平均2社ほどのサプライヤーから新規の売り込みを受けるのだそうです。各社二人ずつとしても、毎日4人と会うことになります。さぞかし名刺も減る一方でしょうし、だいたい顔と名前も覚えることができないはずです。
私は「そんなに売り込みを受けたらパンフレットばかり溜まるでしょう」と訊いてみました。彼曰く「パンフレットは捨てることができるが、なんとなく粗品は捨てることができない」と言うのです。粗品の中で最も多いのは、ボールペンだそうで、机に溢れてどうしようもないのだそうです。
「買ってくれ、買ってくれ」と頭を下げるのは、バイヤーを勘違させてしまう最も早い手段ではあります。会社の看板がすごいのであって、そのバイヤー個人がすごいことはほとんどないからです。しかし、その当時の私はと言えば、逆に頭を下げてモノを納入してもらう日々。どうしようもない納期設定ばかりで、常にサプライヤーにお願いするために足を棒にして歩く毎日でした。正直、羨望の眼差しで彼を見てしまいました。
立場が強くなれば、強気な交渉もできます。立場が強くなれば、おのずと営業マンが接する態度も変わってきます。優良顧客向けには営業マンの質を変える(つまり、優良顧客向けには優秀な営業マンを担当させる)ということは実際にあります。
理想のみから話を展開しても仕方がないので明記しておくと、自社の業界内優劣(業界1位か最下位か)をバイヤー個人で凌駕するのは難しいことがほとんどです。また、ときに産業の勢い(景気の良い自動車産業やIT産業か斜陽産業か)は個人の能力の差など吹き飛ばすことがたくさんあります。