7-(1) 部品ではなく「能力」を調達する<基礎知識>

7-(1) 部品ではなく「能力」を調達する<基礎知識>

日本の製造業の強さは、サプライヤーの能力に支えられていると言われます。協同での商品開発。高い品質。JITに見られる生産体制。現場の改善の積み重ねによる高いコスト競争力。これらはバイヤー企業で完結できるものではなく、サプライヤーの大きなサポートがあって初めて実現できるものです。

その現実を踏まえ、日本ではサプライヤーを外部企業とみなすのではなく、自社工程の延長としてとらえてきました。それは単に製品を購入・納入する関係というではなく、二人三脚となり製品を作り込んでゆくということです。

欧米の製造業と比して、日本の製造業の特徴はサプライヤーによる製品の開発・設計だと言われています。自ら図面を書き、サプライヤーに作らせるという欧米の製造業に対して、そもそもサプライヤーが図面を書き(開発・設計し)発注元に承認してもらうという日本の製造業の構造がありました。欧米の製造業が日本の強さの秘密として注目したのも、この開発・設計上流からのサプライヤーの関与です。

現在、そのサプライヤーに委託するという流れがさらに加速してきました。

バイヤー企業から直接受注するところがティア1、その下請けがティア2です。孫請け、とも呼ばれています。

さきほど説明した「サプライヤーが図面を書き(開発・設計し)発注元に承認してもらうという日本の製造業の構造」といったときの開発・設計の実務主体が下層化してきているのが分かるはずです。

各製品の高度化が進んだ今、バイヤー企業の設計者だけでその全てを把握することはできません。また、ティア1サプライヤーですら各要素技術を把握できなくなりつつあります。調達構造の上位者に必要とされているのは各サプライヤーの技術を取捨選択し組み合わせるアレンジ能力です。技術の細分化と高度化が進む限り、この流れは止まらないでしょう。

これからは、モノを調達するのではなく、能力を調達する時代になってくると言っても過言ではありません。

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