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7-(2) Win-Winの結果を意識する「取引を止めるとき」
さて、ここまではきれいごとをならべているように感じられた方もいらっしゃるでしょう。私も常にWin-Winだけを追い求める指南書にはどこか違和感を持ってきました。
まずバイヤーが条件を明確に提示する。そして、その条件に合致したサプライヤーが手を挙げ、取引が開始される。これだけ見れば、Win-Winしか成り立たないではないですか。
Win-Loseになりそうな瞬間とは、①要件の定義が曖昧だったか、②想定外のことが起きたか、③どちらかが内容をキチンと理解していなかったか、です。
①と③は責を明らかにして改善を目指すしかありませんが、よくあるのは②ではないでしょうか。
最善を尽くしたにも関わらず、予期せぬことが起きた場合。そのとき、トラブルが発生し、不毛な言い争いが発生します。
そして、時に解決不能な事態に陥ることがあります。そういうときは、こう考えるべきです。「Win-Winを目指さなくてもよい」と。
必ず両社が取引をしなければいけない決まりはありませんし、資本主義社会においては自由取引が原則です。もちろん、これまでの取引関係や時間の問題があり、すぐに取引を停止することができない場合は多いでしょう。
しかし、どこまでやっても解決の糸口さえ見つけることのできない場合は、お互いを尊重するという意味で取引停止を選択肢に持つべきです。
これまで、取引関係を絶対と考えていたバイヤーがほとんどで、ゆえに「勝った、負けた」を繰り返していました。まずはWin-Winを目指すことが当然ですが、真のWin-Winを達成するために、取引関係を停止する勇気も必要です。
そして、その勇気を持っているがゆえに、逆説的にWin-Winの関係に近づきます。「何を言ってもサプライヤーは反抗してこない」と思うよりは、「サプライヤーもこちらと取引を停止するカードを持っている」と考えた方が、ずっと相互信頼を勝ち取ることができるからです。