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8-(7) 上流への介入「上流への介入」
青臭い言葉で、押し付けがましいのですが、調達・購買部門は今こそ変わらねばなりません。そして、これまでの常識を潔く捨て、新たな時代にあった標準を創らねばなりません。上流へ介入し、新たな利益構造を提案すべき時です。
バイヤーならばほとんど全員が気づいていることですが、「バイヤーは高く買っています」。もうちょっと下げることができるところを、来期のコスト低減のことを気にして半端に済ませたり、そもそも相見積りを入手しなかったり、「ここが一番安い」と言って既存以外のサプライヤーを探そうともしなかったり。
そういう慣例的に行っていることを、一つ一つ見直してゆく。これができるでしょうか。損益に影響を及ぼす行為の主体である自覚を持って、攻めの調達・購買部門に生まれ変わること。これです。
開発購買しかり、調達・購買部門の重要性を社内に認知させ、発言力を増してゆくことは、本来であればトップダウンでなくとも自部門が進んでやるべきことです。
私が見る限り、これまで活躍していたバイヤーは設計部門出身か転職組でした。おそらく、彼らの共通点は、通常のバイヤーよりも数倍凡人だったことです。秀才の集団に紛れ込んだ凡人だったために、活躍し現状を変えてゆくことができたはずです。
ここでいう「凡人」とは、これまでの調達・購買業務のやり方に疑問を感じ、普通の人が納得してしまう程度の世渡りさえ習得せずに、一つ一つの常識を「本当に正しいかどうか」を検証せざるを得ない人のことです。それに対して、「秀才」とは組織の常識に上手く乗っかり自部門を防衛しようとし、その場その場を上手くやり過ごしてゆける人のことです。
突然、上層部にメールを送って調達・購買部門の活用をプレゼンテーションしてしまったり、企業の枠さえも超えサプライヤーの情報交換会を催しまったりする人は明らかに前者でしょう。
私はむやみやたらに破壊することを勧めているわけではありません。バイヤーに必要なのはときとして考えられないほどの大胆さと、常に自己の立脚点を疑い良い方向を見出そうとする愚直さではないかと思うのです。
調達・購買部門を「モノを購入する」セクションとしてではなく、「最高の調達サービスを提供する」セクションとして定義し直したとき、きっと同じ場所に留まることはできません。そして、その試みを進める過程で、図らずも自部門の存在感を増すことができるでしょう。調達・購買部門を「役に立たないところ」から「そこそこ役立つところ」へ、「そこそこ役立つところ」から「いてくれないと困るところ」へと転換をさせることができるでしょう。
企業再建でも、地方自治体再建でも、「コスト削減」が目玉として取り上げられます。調達・購買部門はコスト低減の主役を担うことができます。「買う」という行為を通じて、大組織の舵取りが、イノベーションを起こすことが、意思次第でできるのです。