セミナー受講者からの恐るべき質問

セミナー受講者からの恐るべき質問

このところ、ずっと企業やセミナー会社に呼ばれて講義をしています。週に
4回も入っているケースもあります。講義の際に出る質問で、驚愕するもの
があります。その一番は、「この知識はウチで役立つのでしょうか」という
ものです。真摯にお答えしようとすれば、「それはコンサルティング契約を
結び、御社の業務を徹底的に分析しなければ、正確なことはいえません」だ
と思います。あるいは「役立つこともあれば、役に立たないこともあるでし
ょう」としかいえません。曖昧な質問は、申し訳ないのですが、曖昧にしか
回答できないのです。

ただ、やはり優れたひとはたくさんいます。まったく仕事内容が異なるのに、
私の講義を聞いて「めちゃくちゃヒントが詰まっていた」とおっしゃるので
す。逆に「あまり興味のない内容だった」といわれるケースもあります。私
は生まれてから「これは興味ないから聞きたくない」と思ったことがなく、
何でも知識を吸収したくてたまりません。だから、自分と遠い内容のように
見えても、そこからヒントを得ようとします。だから「実務とは違ったけれ
ど、応用してみたくなる知識がたくさんあって嬉しかった」といわれると、
私こそ嬉しくなります。

誤解いただきたくないのですが、驚愕するような質問をするひとは全体の1
%もいません。おそらく私の講義は、運良くきわめて低い率だと思います。
講師仲間と話しても、私は抜群に恵まれています。恵まれすぎているほどで
す。

他の講師は、想像以上にクレームを受けています。アンケートでボロクソに
書かれたりだとか、あるいは事務局に「あの講師を二度と呼ぶな」といわれ
たりするケースもあるようです。その苦情の数は、私の10倍ほどです。なぜ
私は少ないのだろうか……。ここで、最近、気づいたことがあります。

それは、ある米国のコンサルタントがいっていたことです。それは「受講者
は講師に似る」。あるいは「講師に似たひとが受講者になる」のです。なぜ
かわかりません。ただ私は事実のように感じます。ということは、真摯で勉
強熱心な講師には、真摯で勉強熱心な受講者が集まるということです。そし
て、勉強熱心な研修企画者から声をかけてもらえるということです。逆に中
途半端で、熱意のない(金さえ稼げばいいと思っている)講師には、そのレ
ベルの受講者が集まるということです。

あまり大声ではいえませんが、講師仲間をこの観点から眺めてみると、おお
むねあっている気がします。しかし、それにしても、これは厳しい課題です。
というのは、熱意のある勉強熱心な受講者を集めようと思ったら、休むこと
なく自分自身が勉強を続けねばならないのです。しかも、徹底的な熱意を持
って。もちろんこれはやりがいがあることではあります。

たとえば、いま社内研修の外部講師を選ぼうとしている方がいらっしゃるか
もしれません(これは調達・購買だけのことではなく、一般的な話です)。
講師を「選ぶ」ことになります。そのときには、集まってほしい受講生と講
師が似ているかをチェックしてみてはいかがでしょうか。

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