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一人だけ仕事がうまくいく方法
この前、ある調達・購買部長さんとお話ししたときのことです。「良いサプ
ライヤの社長と、悪いサプライヤ社長の特徴は何か」。面白い答えは、「前
者は、会社の問題点を教えてくれる」というのです。「しかし、後者は、常
に政治の話をする」と。つまり、「安倍政権が悪いとか、民主党政権はもっ
と悪かった」とかつねに環境のせいにするというのです。環境のせいにする
社長さんで業績絶好調のところはありません(すくなくとも私は知りません)。
なるほどな、と私は思いました。
常に「自責意識=自分にのみ責任があるんだという意識」を持たねばなりま
せん。不景気の際には、不景気自体がチャンスにもなるはずなのです。すこ
し昔話なのですが、私はあるとき一つ仕事がキャンセルされたときがありま
した。時間がありましたので、それをきっかけにDVDを作成することにし
ました。環境のせいにするのは簡単です。でも、せいにしたって一円にもな
らないのですから、なんとか逆境を使うことを考えました。
先日、発表した私の講義DVDですが
( http://www.future-procurement.com/DVD/dvd.html )驚いたのは、大企
業のお客様に加えて、海外のお客様ですとか地方部のお客様にお買いいただ
いていることです。おそらく、このDVDは調達・購買業務のスタンダード
になるのではないか、という思いで発売しました。その思いが達せられるか
もしれません。私は処女作で「この本は、きっと調達・購買業務のスタンダ
ードになる」と宣言しました。実際に、調達・購買業務でもっとも売れた本
となりました。
サプライヤの話に戻ります。
こういう話をすると「すべてを意識だけでは変えられません」と反論されま
す。はい、そのとおりです。「たとえば、次の瞬間から赤字会社を黒字会社
に転換することはできませんよね」と。はい、そりゃそのとおりです。でも、
たとえばやれることはないでしょうか。「まだ自分はやれることがある」と
信じないと、何も進みません。
あくまで一例として聞いてください。みなさんバイヤー企業は、サプライヤ
の決算書を集めたり、サプライヤを格付けしたり、あるいは倒産の可能性を
点数化する、与信調査会社と付き合いがあるはずです。これらの会社から点
数を低くつけられてしまうと、ビジネス活動に支障がでます。この点数は、
操作できないものだと信じられています。しかし、それはほんとうでしょう
か。
いや、社長の意識で点数を変化させられるのです。調査員に積極的に話す社
長の企業は点数が高く、調査員をないがしろにしている社長の企業は点数が
低くなることがわかっています(もし反論があればお寄せください)。しか
も、取引先一社一社をまわれば、ほとんどのサプライヤでは顧客のつなぎと
めができ、お客が求めている製品や技術などを次期の開発につなげることが
できています。社長が環境のせいにせずに、自責意識をもっていけば、おな
じ業界でおなじようなビジネスをしていても、まるっきり変わるのです。
そして、その見極めこそ、私たち調達・購買関係者が行わねばならない「リ
アルな評価」ではないでしょうか。そして自責意識をもつことこそが「一人
だけ仕事がうまくいく方法」につながるのだと思うのです。私も、そういっ
た自責意識をもつみなさんを、必死で応援したいと思います。