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「ウチの予算」なんて言葉は意味がない
「この金額しか出せない」
私がバイヤーになったとき、先輩から教えられた一言があります。
どうしても金額が合意できないとき。あるいは不測の事態によってコストア
ップして許容できない見積もりが出てくるとき。
こういうときに言えというのです。「この金額しか出せない」と。
すると、「しかたないな」と営業マンも思ってしまい、こちら側の言うとおり
のコストにしてくれる、と言うのです。
このアドバイスに違和感を抱いていた私は、外資系のサプライヤーの CEO
とあって話をしていたときに、「この言葉が通じるのは狭い日本だけだ」と思い
知ることになりました。
「どうしてもこの金額しか出せない」と言う私に、その CEOは「じゃぁ、
今晩は安いホテルでも紹介する」とだけ言ったのです。
考えてみれば当たり前のことでした。
サプライヤー側に、こちらの予算など関係がありません。
関係がないどころか、そのような発言はこちらの非一貫性をアピールしてし
まうだけのことです。
杓子定規に言えば「この予算しかない」ならば、仕様を変更するか、あるい
は違うサプライヤーを探す旅に出るしかありません。
そして、あえて言うのであれば、そのようなロジカルでない体質を営業マン
に知られることで、予算のあるときは必ずその予算いっぱいの価格を提示され
ることになります。
どこまでもロジカルに、相手側を十分に納得させた上での価格決定が長期的
に見て最良であることを誰もが思い知ることになります。
劇的な購買になるために
こちらの都合を前面に押し出すのはやめよう