調達担当者とダイエット

調達担当者とダイエット

先日、理由あってダイエットにかかわる本を調べました。「巻くだけダイエ
ット」「ロングブレスダイエット」などは有名です。そのほか、「寝るだけ
ダイエット」「原始人ダイエット」「噛むだけダイエット」など、無数の書
籍が発表されています。あと出版されていないのは「生きるだけダイエット」
くらいです。売れるから発売されるわけですが、勢いはとどまるところを知
りません。

ところで、この話をご年長者にしたところ、「それは現代の病理だ」とおっ
しゃいました。かつては「ふくよかな女性がモテていた」と。しかし、ほん
とうにそうでしょうか。私は、このテの「昔は違った」系の話をほとんど信
じません。人間が100年ていどで変わるとは思えないからです。たとえば、
さらに遡って、平安時代にはふくよかな女性が人気だったというひとがいま
す。ただし、それを明確に述べた古典を読んだことがありません。ふくよか
な女性”も”モテていた、のならば、現代と変わりません。

実際に戦前の新聞を読みますと、すでにダイエット広告がさかんに載ってい
ます。需要がなければ広告は続きません。これでも、現代特有の病理なので
しょうか。

このところ、自分の子どもに異常な名前をつけるケースがあります。いわば
「DQN(ドキュン)ネーム」というやつです。漢字だけ見ると、なんと読
むのかわからないし、聞いてもよくわからない。一例は、永遠の愛を望んで、
「永遠愛」ちゃんとつけた例です。なんと読むのかと思ったら、「とわら」
ちゃんだそうです。

不思議なのは、そのご両親が離婚してしまったのですが、ただ、それよりも
重要なのは……。

そのような異常な名前というのは、すでにだいぶ前からの慣習なのです。古
いところでは「徒然草」に、最近の親は子どもに意味不明な名前ばかりをつ
けたがる、と指摘があります。日本は、アメリカ人のように、マイクとかジ
ョンとかつける風習がなく、ずっと名前を「革新」し続けました。これも旧
来からの文化なのです。

だから、一般的に「大きな変化」が起きているように見えても、それが人間
性にかかわるケースはたいてい疑ったほうがよいのです。仕事のやり方でも、
それがメンタリティにかかわるものであれば、古典が書いたものはじゅうぶ
んに通用します。だからこそ私たちは「歴史に学ぶ」べきなのです。

その意味で、もしみなさんが何かを学ぼうとした場合には、ベーシックかつ
オーソドックスなものを選ぶのが一番です。少なくとも、それを意識し教養
のある講師によるものを選ぶべきです。目新しい、かつ、奇抜なものは、歴
史の試練をくぐり抜けていないぶん、信頼に足りませんからね。

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