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ＳＭＡＰ、ベッキー化する調達業務
ＳＭＡＰは芸能界の影を表現しました。はたして彼らは何にたいして謝罪し
たのか。あれは事務所にたいして謝罪したのは明確でした。木村拓哉さん以
外のメンバーが、うつろな目つきだったことは印象的です。公開処刑といわ
れてもしかたがありませんでした。
ベッキーも私たちに、井戸端会議の話題を提供してくれました。これまで清
楚が売りだった芸能人が、まさにゲスな不倫をしていた、という絵に描いた
ようなネタでした。不倫の倫理的可否について私は述べません。ただ、すく
なくとも、職場での飲み会や食事の場などで、ＳＭＡＰやベッキーを通じて、
日本人の多くが持論を語る場面があったはずです。
そんなとき、意識的に、主流から離れた意見も必要だと思うのです。たとえ
ば、ＳＭＡＰの「事件」では、ジャニーズ事務所が悪者とされています。し
かし、お金をかけて育てたタレントのうち、あれだけヒットする「商品」は
一握りしかいません。大ヒット商品が、事務所の多数を支える、いわば社会
主義的なシステムなのです。それなのに、いきなり独立されてしまうと事務
所は成り立ちません。
また、ベッキーの話題では、なぜＬＩＮＥの画面を流出させた側を非難しな
いのでしょうか。あれは個人のプライバシーを明確に侵害した犯罪行為です。
むしろ、犯罪としては、そちらが大問題ではないでしょうか。
ちなみにこうやって、あえて、もう一つの見方を提示しましたが、私はどち
らにも完全に偏りたくはありません。重要なのは、複数の視点を持つ冷静さ
ではないでしょうか。もうひとつ、私の心を揺さぶる案件があります……。
それは、遺伝子組み換え作物です。私も小さな子供を育てていますので、妻
は、できる限り遺伝子組み換え作物を食べさせないようにしています。いや、
忌避しているといっても良いほどです。
しかし、調達関係者として、次の事実を知っているでしょうか。いまだに世
界では飢餓問題と無縁ではありません。遺伝子組み換え作物は、圧倒的に育
てやすく、大量に収穫できるので、飢餓人口を減らしている側面があります。
また、貧しい国では、遺伝子組み換え作物によって、栄養価を高めることも
可能です。さらに害虫にも強く、肥料の使用量も減らせるので、経済的に多
くの農民と消費者を救っています。
さらに、都合の悪い真実を追加すれば、遺伝子組み換え作物のほうが地球環
境負荷に優しいことも可能になっています。遺伝子組み換え作物を食した牛
から排出されるメタンガスを低減できるからです。
こういうことを私はテレビでいう気になれません。ヒステリックなひとたち
から苦情が届くのが自明だからです。
私は、遺伝子組み換え作物に賛成でも反対でもありません。裕福な国であれ
ば、遺伝子組み換え作物を食しない選択はじゅうぶんにありうることです。
ただ、物事にはすべて表と裏があり、複眼思考をしておきたいだけです。す
くなくとも、遺伝子組み換え作物を食しなかったとしても、そのメリットに
ついても想像すべきでしょう。
調達・購買は、これからＣＳＲの名のもとに、クリーンで倫理水準を高くも
たねばなりません。消費者からの苦情なき調達品を求める必要があります。
しかし、同時にやはり考えておきたいのです。自分や会社の倫理水準が絶対
ではない可能性があることを。
すくなくとも、私は、私の声に耳を傾けてくれるひとたちには、常に警鐘を
ならしていきたいと思うのです。
