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トランプ新大統領は調達構造に変化をもたらすか
トランプ新大統領が誕生する見込みになりました。これまで彼が述べている
ことは、罵詈雑言が多く、さほど政策論争にはなっていません。しかし、経
済側面からあえていうと「TPP離脱」「法人税15%へ引き下げ」「最低
賃金引き上げサポート」となります。
TPPの離脱はありえるかもしれません。ただ、アジア諸国の輸出品に高額
関税をかける件はどうでしょう。おそらく実現しないでしょう。WTOに提
訴されれば、元に戻さざるを得ません。もちろんアジア各国に為替操作国と
認定する可能性はありますが、低いと思います。法人税の低減は不明です。
おそらく、やるにしても緻密なシミュレーションのあとでしょう。最低賃金
はあげても、結局、ロボットなどの代替が進むだけだと思われます。
しかし、私が注目しているのは、この三つではなく、トランプ氏がひっそり
と述べたドットフランク法緩和の動きです。これは、金融を規制する法であ
り、われわれ調達・購買関係者からすると、サプライチェーン上にコンゴ民
主共和国および周辺国産の鉱物を使っていないかを調査せねばならないもの
でした。
法の趣旨は崇高なものの、これが緩和される、あるいは撤廃されれば、かな
りの工数低減となるでしょう。それにしても、TPP加入で米国の牛と豚に
ついて安価に調達できると想像しておいた調達部門はかわいそうですね。し
かたありませんが、翻弄された感があります。しかし、TPPは米国の、中
国対抗の色合いが強くありました。日本は、米国が抜けた際にも、批准条件
を変えつつ周辺国とTPP交渉を進め、もし米国が戻ってきたらTPPに迎
え入れる、という戦略が順当でしょう。