- ホーム>
- 最強の調達・購買スキルアップ講座>
- ちいさな社会実験(坂口孝則)
ちいさな社会実験(坂口孝則)
何度も書いているけれど、私はかなり悩みがちな人間だと思う。会話相手の些細な表情の変化が気になって仕方がない。話しているときでも、退屈そうな人がいたら話しに集中できなくなる。相手が不満そうなときには、冷静でいられない。
よくポジティブシンキング思考の人たちから「あんまり気にするな」と言われた。しかし、ポジティブシンキングの人たちのあまりの鈍感さと無配慮に呆れて、私は真似できないと思った。それによくよく話してみれば、成功者ほど傷つきやすい人が多い。芸能人だって同じだった。だから、私は「悩みがちな性格」自体をあまり気にしないようにした。
ところで、一つ心に残っている指摘がある。ある人は、私に向かって「同じことをやり続けているのに、違う結果を求めること。それを精神病と呼ぶ」と教えてくれた。そのとき、新鮮な驚きがあった。多くの人は、同じオフィスで、同じ仕事を繰り返して、そして同じ生活を重ねているのに、違う結果を求める。悩みつつ、でも変化を起こさずに、射幸を求める。でも、そんなことはない。違う結果を求めるのであれば、これまでとは違う何か、これまでとは違う変化を自らに起こさねばならない。
私は、「同じことをやり続けているのに、違う結果を求めること。それを精神病と呼ぶ」と教えてくれた人に、訊いてみたことがある。「では、何をすればよいのでしょうか?」。答えは明確だった。「違うことをやれ。何でもいいから」。それが精神病に罹患しないたった一つのやり方だという。
このことを聞いてから、いくつの変化を試みてきただろう。もちろん、その多くは無意味に終わった。いくつもの団体を立ち上げてはつぶした。新たなプロジェクトを立てては、まったく成果をもたらさなかった。
ただし、もし「違うことをやる」ことそのものに価値があるのであれば、その失敗も捨てたもんじゃない。私の行動の多くは、99%がムダになるかもしれないと思いながら、残りの1%に捧げられている。
私は先日、ブログの訪問者が少ないことに気づいた。このところ積極的にブログを更新していなかった。だから人数が少ないのは当然だ。しかし、3月11日震災以降、このブログを活用して、これまで私のことを知らない人に、情報を提供できることはないかと考えた。このメルマガで大事なことを書くことは止めない。ただ、よりマス(大衆)に対してアプローチすることで、たくさんの人に価値をお渡しすることができないかと思ったのだ。
もちろん私の頭のなかでは、このフレーズが響いていた。「同じことをやり続けているのに、違う結果を求めること。それを精神病と呼ぶ」。それであれば、これまでと同じような投稿を続けても意味がないだろう。
そこで、土日を使って、有名ブロガーやメディアに取り上げられるコンテンツなどをずっと分析してみた。すると、人が集まる条件として、次の四つがあるのではないかと思うに至った。
1.キャラ
2.サプライズ
3.トレンド
4.わかりやすさ
この四つである。キャラクターがいて(ちなみに韓国最大のキャラクターはヨン様だろう。ヨン様という一人のキャラクターとコンテンツが韓国経済を激変させた)、驚きがあって、時流に乗っていて、しかも明確。
これらの条件を備えたらいい。
ということで、私はさっそく、いくつもの記事を投稿してみた。
ニュース「桑田佳祐さん、福山雅治さんの支援ソング」の価値
ニュース「トヨタ、ホンダ、日産、生産台数減少」の価値
ニュース「AKB48総選挙」について知っておくべき一つのこと
ニュース「松山ケンイチさんと小雪さんの結婚」の価値480万円
上のものがそれである。
1.キャラ:お札をモチーフにしたキャラクターを作ってみた
2.サプライズ:ニュースの価値をお金に換算する取り組みを開始した
3.トレンド:ニュースは流行のものからピックアップする
4.わかりやすさ:数的根拠を誰にでもわかりやすくしてみた
これをやってみると、これまで100~200人程度の訪問者が、300~500人にまで増えた(笑)。簡単だった。加えて、Twitter(私のIDは@earthcream)でも宣伝してみた。すると、もっと増えた。詳しくは上記の記事をお読みいただきたい。
しかも、面白いのが、月刊サイゾーからインタビューの依頼まで届いた(笑)。それもズバリ「ニュースの価値」についてだった。もちろん私は自分の試みが完全に成功しているとはいわない。ただし、同じことをやっていても同じ結果しかもたらされない。ただ、何でもよいから異なることをすることから、違う結果がもたらされる可能性が広がる。
私はこの投稿のタイトルを「ちいさな実験」とした。おそらくみなさんの仕事でも、いくつでも小さな実験は可能だろう。もしブログをお書きの方であれば、上記の四つを意識なさるのも良いだろう。
この読者のうち、どれくらいの人がメディアに出たいと思っているか、あるいは自分のブログや意見を社会に問いたいと思っているのかはわからない。ただ、サラリーマンとしてであっても、社内に自分の意見を浸透させることは必要だろう。
「キャラ」「サプライズ」「トレンド」「わかりやすさ」の四要素を使うことによって、「人目を惹く技術」を構築することができるだろう。私のブログをお読みいただければ、もっと上手く書けると思う人もいるだろう。ぜひ実行に移していただきたい。
小さな実験と変化の積み重ねこそが、将来にわたって大きな差をもたらす。もしこれがほんとうなら、何らかの行動を起こすことはそれなりの意味がある。たとえその99%が弊履に化してしまったとしても。