アラーム[注意]下請法と調達の2017年

アラーム[注意]下請法と調達の2017年

先日、下請法の改正についてご連絡しました。2017年には、下請法の運
用ルールが変わる予定です。新聞報道では、「金型保管コストを下請事業者
に払うよう要請」「労務費の上昇分を取引額に反映するよう要請」とありま
す。ただ、もっと怖いのは、「買い叩き」の意味が変容することです。

これまでは、「通常支払われるべき対価に比べて著しく低い額」だとされま
した。しかし、これ以降は、「下請事業者と十分な協議なく、一方的に従来
通りの単価を据え置く」だけで違反と認定される可能性があります。

さて、この背景をざっと説明しましょう。中小企業の設備年齢は8.6年で、
なんとこれは20年前の2倍にあたります。つまりまったく設備投資がなさ
れていません。しかも原材料コストの値上がりしても、そのコストを販売価
格に転嫁できた中小企業は三分の二にすぎない状況が続いてきました。

このような話をすると、多くの調達・購買担当者は「原材料コストがあがっ
ても、サプライヤは自社の生産効率性を高めて対応すべきだ」といいます。
私もいいます。ただ、実際には効率性向上は限界まで来ており、中小企業は
けっきょく、人件費の抑制と、設備投資の抑制を選択してきました。

行政がここに大きな問題意識を抱くのは当然でした。

中小企業の稼ぐ力をあげようとさまざまな試みがありました。しかし中小の
サプライヤにとって、ほとんど売り先は増えていません。中小企業の統計を
見ると、取引額がもっとも多い親事業者への依存度(売上高にしめる特定バ
イヤー企業発注額の比率)は、なんと50%をこえています。つまり、売上
高の半分を、たった一社に依存しているのです。これでは交渉力が低下する
のは当然です。

これだけグローバル化が叫ばれています。みなさんは製品を輸出している中
小企業ってどれくらいだと思いますか。たったの3.5%です。従業員が3
人以下の小規模サプライヤにいたっては、さらに低く1.4%です。多くの
自治体で、地元企業を海外で活躍させるよう、視察ツアーが組まれています。
あれはほんとうに効果があるんでしょうか。

前回、私は下請法改正を「買い叩き資本主義の終焉」と述べました。そして、
サプライヤを真に選択・集中する時代に入った、ということでしょう。どの
企業を運命共同体として選ぶのか。

戦略的癒着の時代が到来しているのです。

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