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5日目⑥
仕入・調達・購買に関わる人達と集まりをやっていてこういう会話を交わすこと
がある。
「いやー、最初にこの仕事を始めるときが一番新鮮で、一番情報を敏感に感じ取っ
ていた気がする」、と。誰かがそう言うと、私は必ずこう言う。
「いや、最初にこの仕事に入ったときに持った感覚こそがいちばん正しいんじゃな
いですか。歳を重ねることで学んだ事なんて本当はたいしたことじゃないことが多
いですよ」と。
取引金額が大きくなったり会社の規模が大きくなったりすると、必ず今のままで
いいのだろうかという疑問が湧いてくる。そうすると、企業は役に立たない企画の
部門や計画の部門を作ったり、訳の分からない難しい研修を社員に受けさせたりす
る。その結果、ありもしない理想の購買像というものを作り上げ、「うちがまだこの
レベルに達しないからダメだよね」なんて話をしている。
しかも世の中には難しい議論を売り物にする人があふれているから、どうしても
その意見を聞かなければいけないんじゃないかと勘違いしてしまう。サプライチェ
ーンマネジメントだとか、商品ライフサイクルなんとかだとか、なまじ頭の良い人
ほどこれを聞いてしまう。だけどそれらの理屈が実際の実務に応用できるかという
とそういうわけではない。
考えてみてほしい。自分が服を買う時どうするか。高い服を買えばそれはそれな
りにいい見栄だということもわかっている。だけど自分の財布と相談して買うもの
決めているはずだ。なんにせよ自分が気に入って、さらに自分が払えるレベルのも
のを買っているはずだ。そりゃ、私だって高い服は持っている。でも全てじゃない。
すべて品質が良いものだとか見栄が良いものだけを買っていたら、私の財政は破綻
しているだろう。
それと一緒だ。何も身構えて仕入れ・購買・調達ということを難しく考えること
はない。いちばん最初にこの仕事に就いた時に持っていた感情に正直になればいい
だけだ。自分の身の丈にあったものを買う。高すぎるものは本当にそれが必要かど
うかを自分自身に問うてみる。同じもの売っているところがあれば、それを比較し
てみる。本当に必要なものを必要な時にだけしか買わない。高尚なことを言ってい
る人のコメントを聞く必要はない。考えてみれば当たり前のことなのだ。