第1章 座談会 3.● 「売る」バイヤー①

第1章 座談会 3.● 「売る」バイヤー①

りょうま 今回4つのテーマを選定して、皆さんへ事前に御連絡しています。皆様からは、キーワードのみご回答を頂いています。これから、そのキーワードに関して話を振らせていただきます。最初のテーマである「バイヤーをやっていて良かったと思えた他人からの一言♪」ですが、藤野さんの「売れている」っていうのが、私みたいなバイヤーからはとっても興味深かったのですが。

藤野 小売業のバイヤーなので、売るところを睨んでの買い付け……目的が「売る」と言うところにあって、買う……その目的が果たされたってことで、売れて良かった……

坂口 メーカーの資材、購買の人は、売る先のことはほとんど見ることがない。生産管理のオヤジに届ける程度。お客が買っている姿を見たいことがない。凄くて、新鮮……

鈴木 羨ましいです。すごいモチベーションでしょ?

坂口 世の中のバイヤーは、藤野さんみたいな仕事を思い浮かべる

鈴木 百貨店のバイヤーとか?

藤野 カリスマバイヤーって言うと、ファッション系アパレルってイメージ

斎藤 自分の好みのモノを買って……

鈴木 それをトレンドに乗せる?

藤野 好みのモノを買うと、失敗するって定説がある

斎藤 「売れている」って言われたのは、何でだろうと思った?

藤野 買う時点で、できるだけ好みを入れないように最初から心がける。どのくらい客観性を持てるかがポイント

斎藤 売れているよって言われたものは、何が良かったの?

藤野 例えば、お店で一ヶ月間かけて、コーヒー・紅茶フェアーという……プロモーションやると決める。販促物はこれ、品揃えはこれで、全店でこのくらい売るから、仕入れはこの金額にしてくださいって価格交渉して……自分が好きな味とか、好きなメーカーじゃなくて、世の中でどのくらい売れているか?自分のところの客層が、どこら辺のどんな好みで、どういうモノを買っているかを分析して……

坂口 データマイニングですね、それって

藤野 その分析を元に品揃えを決めていく

坂口 例えば機械メーカーなら、想像するに、昔から買っているサプライヤーがいて、図面も彼ら主導で決まっている、設計者も同じ人ばっかりですよね。競合ってのはウソで、実際に買うところは初めから決まっていて、でもわざと価格を争わせフリして決める。だけど、藤野さんところは、本当に自由にサプライヤーを決めている。でも、契約時点で止める人はいないの?

藤野 止める人たちはいないですね……

坂口 例えば、コーヒーを買うとしますよね。突然、ブラジル産のコーヒーって決めたら買って良いの? ロシアのベンチャーのコーヒー屋でも?

藤野 極端な話、そうですね

坂口 本当? すごい

斎藤 ここから買うことにしてね!って言われることもあるのですよね?

藤野 取引先戦略で……

坂口 戦略ってのは、あくまでも自分からのものでしょ?

藤野 はい

坂口 他人からってわけじゃないでしょ? そりゃすごい

鈴木 食品とか買って……例えば、ブラジルから買って、お客さんに問題が起きたら、バイヤーが責任取るの?決定権がそこまで持たされているわけだから……

藤野 安全な、ちゃんと体制のできているものを仕入れますよ

坂口 万が一は、藤野さんが責任とるのか?

藤野 販売元として、そういう原料なんかの責任が取れないのであれば、PB商品なんかもつくりますけど……

坂口 PB商品ってなんですか?

藤野 プライベートブランド。ある程度の品質や、クレーム問題はメーカーに任せます

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